精神科病院が「東急8500系」を購入した納得の理由 必要資金8000万円、調達にはクラファンも活用
東急の全面協力はクラウドファンディングの返礼品にも現れている。鉄道関連のグッズは東急公式オンラインショップ「TOKYU STYLE」が協力してくれた。筆者が参加した「8530特製アルミカードケース」も限定モデル。過去に同様の商品があり、筆者も「伊豆の夏号バージョン」を持っている。返礼品は8500系のコルゲーションだけではなく、車番と窓がデザインされている。ほかにも座席の生地を使ったペンケースとキーケース、Nゲージ車両と原寸大車号板(レプリカ)、銀座天賞堂製の腕時計。天賞堂と言えば鉄道模型だけれど、創業以来、宝飾品、時計販売業の老舗である。
「ハチゴープロジェクト特別DVD」は東京さつきホスピタルへの搬入の様子をレポートするほか、石坂氏と共に、ある病院の経営改革に取り組む元航空会社役員が登場し、車両総合事務所に潜入、航空業界から鉄道業界へ突撃取材を敢行する。8500系の魅力を語ってもらう予定だ。
実物車両部品として、現在走行中の8537号車の青帯コルゲート板。客用ドアは1枚30kgを左右1組。そして8500系の象徴、前面赤帯3枚セットは貴重すぎる。走行中の列車の部品まで売約するとは、中古部品販売としても大盤振る舞いだ。ドア販売は祐天寺の鉄道イメージカレーショップ、ナイアガラで使われていたブルートレインの扉がヒントになったという。
ユニークな返礼品も
返礼品には食品もある。これは病院側の提案だ。グループの就業支援施設「創造農園」の手作り洋菓子セットのほか、研精会が力を入れる「食支援チーム」推薦の、大分県の酒蔵「ぶんご銘醸」の甘酒セット、岐阜県のグルテンフリー工房「ままみぃ」の米粉パン、嚥下調整食の製造元「天柳」のMCT(中鎖脂肪酸)オイル、飛騨「まんま農場」の減農薬米セットなど。
ユニークなところでは8500系車両を貸切で提供するディナータイム。シェフはフランスの三つ星レストランで修業後、オランダやドイツの日本大使館料理長を歴任した河野辰也氏だ。JR九州の「家庭画報×ななつ星 in 九州 クリスマス スペシャルツアー(2021年)」で腕を振るった。大分でレストラン「ムッシュカワノ」のオーナーシェフを勤めており、この催しのために上京する。食支援チームのリーダーの幼なじみという縁だ。
鉄道とは関係ない返礼品を選ぶ支援者もいる。「東京さつきホスピタルを応援したいけど、鉄道には興味がない」という人たちだ。返礼品なしで50万円、100万円単位の支援者がいる。鉄道車両保存プロジェクトのようでいて、精神科病院応援プロジェクトになっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら