常に結果を出すトップ営業は逆境にへこたれない 有力5社エースに見た、社内論理に流されない精神

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《自分は誰のために働いているのだろう。座談会を通じて、私自身が猛反省した。「世のため人のため」というと「きれいごと」と捉える人がいるだろう。ただ、今こそ、その姿勢が大事ではないか。自分の仕事が誰に、どのように貢献するのか。この点を意識したい。そうであるがゆえに、サントリーフーズの内藤さんや、野村証券の宇治さんは本来の業務からやや離れた相談をお客様からいただいたのだろう。
新型コロナウイルス禍の本質は、あらゆる意味で人と人との距離を離したことだと私は捉えている。その中で、いかに密な関係を築くか、維持するか。リアルな接点の価値を正直に語ってくれて、私はうれしかった。オンラインとリアルをいかに組み合わせるのか、今も模索は続いているが、カッコつけること、強がることをやめて、それぞれのメリットやデメリットを正直に語るべきではないか。模索を続けなくてはならない。
思えば、リクルートでの若手社員時代、営業職をしていた私はよく上司や先輩から、営業が強い企業のエピソードを聞いた。当時のリクルートも「営業会社」と言われるくらい営業の強さが話題となっていた。今回、座談会に登場いただいた企業のエピソードを聞き、先輩もリスペクトしていた「強い営業」という言葉をつい使ってしまった。
しかし、今回の座談会出席者からこの言葉への違和感、戸惑いがみられ、私は反省した。強いとは、所詮、社内の論理ではないか。顧客不在ではないか。私が「強い営業がいる」と思い込んでいた企業は、顧客とともに栄えることを大事にしていた。
テックの時代だが、営業活動は続いている。進化している。この座談会で日本の営業担当者が誇りを持ち、前に進む勇気を持ってくれたらこれほどうれしいことはない》
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常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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