コロナ禍で「認知症になっている」を見逃すリスク 行動制限が悪影響、会わない間に異変気づかず
長引くコロナ禍が認知症の人の症状に悪影響を及ぼしている。
心身機能の維持に課題
週刊東洋経済 2022年12月3日号(11月28日発売予定)の特集は「認知症 全対策」。介護から予防、費用、相続まで認知症のあらゆる対策を網羅する。
広島大学大学院医系科学研究科の石井伸弥特任教授と日本老年医学会は、全国の介護施設、介護支援専門員(ケアマネジャー)を対象に2020年6~7月と2021年10~12月の2回にわたって、新型コロナが施設、在宅での介護にどのような影響を及ぼしているか調査を実施した。
2回の調査結果を比較したところ、「生活の変化によって認知症の人に悪影響が生じた」との回答が施設、ケアマネジャーともに10ポイント以上増加。なかでも「認知機能の低下が見られた」との回答は、2020年と比べて介護施設で約20ポイント増、ケアマネジャーで約7ポイント増加し、共に8割を超えた。
この原因を石井教授は「コロナ禍が長引き、外出機会や他者との交流が減少したため」と分析する。認知症の人の症状を悪化させないためには、コミュニケーションや体を動かすことが重要だ。どのように認知症の人の心身の健康を維持するか、対応に苦慮している。
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