ロシア「日露戦争に並ぶ屈辱」へルソン撤退に悲壮 プロパガンダ拡散役の露国営放送が意気消沈

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この発言の後、パネリストたちによる活発な議論が始まったが、ソロビヨフはそのやり取りを遮って「我々はフィンランドでも敗北しなかったか?」と述べた。これは1939年にソ連軍がフィンランドに侵攻したものの敗北した「冬戦争」のことだ。

そしてソロビヨフは「我々は今、NATOと戦争をしている」と述べ、さらにこう続けた。「NATOがこれほどの規模で我々に立ち向かってくるというのは、明らかに予想外だった」

ソロビヨフは、戦争においては「感情に流されない」ことが重要であると同時に、戦争がいかに「痛みや恐怖を伴うものか」を考えれば「軍の決断を尊重すること」も重要だと主張。「だが戦争には独自の法則がある。我々は兵器を製造している世界経済の50%(を占める国々)を相手にしている」と述べた。

敢えて米中間選挙の後に撤退を発表したと主張

だがソロビヨフは、ロシア軍の決定は賢明だと擁護し、ウラジーミル・プーチン大統領や軍幹部を直接批判することはなかった。「戦争における勝利は、一つの軍が破壊された時に達成される。我々の軍が破壊されないようにすることが、きわめて重要だ」と彼は主張した。

ある有識者が議論の中で、ロシアがヘルソンから撤退することについては、何日も前から憶測があったと指摘すると、ソロビヨフはそれに対して、11月8日以前に撤退していれば、米中間選挙で民主党にとって有利な材料となり、「ジョー・バイデン米大統領を助けることになった」と主張。「だからこそ政府は、アメリカの選挙に影響を及ぼすことがないように、(米中間選挙の投票日である)8日よりも後の9日に発表を行ったのだ」と語った。

番組に出演したパネリストたちは、この時ばかりは得意げに、ロシア政府にはアメリカの選挙プロセスに影響を及ぼす力があるのだと語り合った。アメリカの野党・共和党の間には、ウクライナへの軍事支援のコストを懸念する声があるため、プーチンとしては中間選挙で共和党が躍進することを願っていたのだろう。

(執筆者:ブレンダン・コール)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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