若者を対象とした意識調査によると、友達と「意見が合わないときは納得いくまで話し合う」と答えた人の比率が、02年は50%だったのに対し、14年には26%まで低下。一方で「お互い深入りしない」と回答した人の比率は上昇している。
意見をぶつけず、深入りしない傾向は、コロナ禍で“友達離れ”も引き起こしている。関西の大学に通う女性(22歳)は、「相手に嫌な部分があっても本人には絶対に伝えません。遅刻ばかりする友達がいましたが、コロナでサークル活動がなくなったことを契機に、会わなくなりました」と話す。
友達にも本音で話せないとなれば、会社の同僚はなおさらハードルが高いだろう。Z世代の人間関係は希薄化しているように見えるが、そう単純ではない。
求める関係の理想が高い
「希薄な関係を求めているわけではなく、『本音を言える関係が欲しい』『いつでも自分を受け入れてくれる場所が欲しい』と、求める関係の理想が高いんです」
そう話すのは、教育機関に勤務する弦間沙羅さん(24歳)だ。同世代の友達から人間関係の悩み相談を受けることが多いため、卒業論文で複数の大学生に人間関係についてのヒアリング調査を行った。調査からは、「相手との関係を失う怖さから空気を読むことを最優先する一方で、何でも話せる関係性を求める傾向があることがわかった」(弦間さん)という。
Z世代は対話の努力をしていないわけではない。冒頭の浩さんは「共通の話題を見つけて先輩に毎日話しかけるようにしていましたが、40歳以上や実務をしていない管理職は、話しかけようにも、とっかかりがない」と言う。
過度な気遣いの裏で理想のつながりを求めるZ世代。深刻な悩みを抱える若者が放置されていないか。気軽に相談できる関係性を築くには、互いに一歩踏み込むしかない。
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