窮地の岸田首相、政権維持へ表沙汰にできない秘策 閣僚辞任ドミノで支持率落ちても強気なワケ
10月末の大手メディアの世論調査で、内閣支持率はいったん下げ止まり傾向となった。その時点で、岸田首相は「1つひとつ成果を出せば、反転攻勢は可能」(側近)と自信を回復していたとされる。
ただ、旧統一教会との“癒着”での拙劣な対応で、10月24日に“更迭”となった山際大志郎前経済再生相を、すぐさま党のコロナ対策本部長に就任させるという大失態。さらに、首相を支えるはずの岸田派幹部・葉梨康弘氏の、いわゆる「死刑にハンコ」発言での11月11日の法相更迭劇で「危機管理能力欠如を露呈」(閣僚経験者)して国民的不信も急拡大し、内閣支持率は危険水域に突入間近となっている。
そうした状況にもかかわらず、「首相は心の奥底では、次期総裁選まで続投する自信は揺らいでいない」(岸田派幹部)とされる。その背景には、①最大派閥・安倍派の空中分解の可能性、②反岸田勢力の旗頭の菅義偉前首相、二階俊博元幹事長の支持取り付け、③有力な後継候補の不在、という自民党内の権力構図があるとされる。
まず安倍派の状況だが、当初有力視された塩谷立会長代理の昇格案が、同派中堅若手などの反対で頓挫。その背景には次期総裁選に向けての同派総裁候補の激しい主導権争いがあり、その場しのぎの「集団指導体制」でも軋みばかりが目立ち、「次期総裁選でも草刈り場になりかねない状況」(若手)だからだ。その場合、岸田首相は「最大派閥の圧力から解放される」(周辺)ことになる。
“会食攻勢”で二階氏ら懐柔、後継候補も不在
次に、党内の「反岸田勢力」の活動をみても、「その中核となる菅、二階両氏が政権支持を表明するなど広がりに欠ける」(自民長老)のが現状。10月下旬からの岸田首相の二階氏らに対する“会食攻勢”も「効果が出ている」(同)とされる。
さらに、“ポスト岸田”候補については、自民党内で茂木敏充幹事長、河野太郎・内閣府特命担当相らの名前が挙がる。ただ、「いずれも党内での評価は低く、とりあえず岸田首相の続投が無難との声が多い」(閣僚経験者)との見方が支配的だ。だからこそ「当面引きずりおろされるリスクは少ないとの判断から、政権危機にもうろたえていない」(側近)のだ。
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