「管理組合の資金難」築浅も無関係でない深刻理由 管理会社に不満があり「変更」するときの注意点

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本来フロント担当者とは、理事会からの要望を丁寧に聞き、会社との間を取り持つ重要な役割を担う人材だ。円滑にマンション管理を行うためには高いコミュニケーション能力が不可欠となり、「人」による部分が大きい職務でもある。

だからこそ管理会社単位で捉えてリプレイスを検討する前に、別のフロント担当者、あるいは管理員への担当変更を切り出すなど、段階的に申し入れを行うのも一つの手と言える。

何か気に食わないことがあったらすぐに管理会社の本社に担当者変更を申し入れするのではなく、どのような経緯があり、どういった改善を望んでいるのかといったプロセスまで透明性を持って伝える必要も出てくる。さらにはその内容を都度、管理組合で、共有しておくことも重要である。

リプレイス希望の場合の注意点2つ

管理会社のリプレイスを希望する場合はどのような点を重視すべきなのだろうか。

第一は、管理会社から敬遠されない管理組合の体質づくりの強化が必要だということだ。管理会社は当然、マンション管理に関わる出納業務を手がけている。つまり、マンションの収支状況は把握されていると理解しておかなければならない。

中でも管理費会計が赤字(見込み)の場合、もしくは駐車場収入が減少する可能性がある管理組合はより注意を払う必要がある。赤字のマンションの管理業務を積極的に担いたいと考える管理会社はいないだろう。

管理委託契約の内容変更、管理費改定なども視野に入れ、共に持ちつ持たれつの関係を継続できることが良好なマンション管理にとって大切になってくる。

さらに、築2年未満のマンションにおいて、管理会社をリプレイスすることにはリスクが生じる点も頭に入れておきたい。マンションの「質」を維持するのに有効な無償のアフターサービスにおいて大きな意味を持つのが「2年目」だからである。分譲マンションの場合、分譲した会社の系列子会社が管理会社となるのが通常だ。

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そのため、管理会社変更により、スムーズにアフターサービスが受けられない可能性が出てくる。連絡ミスなどによりアフターサービス期間が経過してしまい、補修希望の箇所が直せないという事態が起こることも予想される。

アフターサービスの面だけでなく、マンション管理には長期的な視点も大切となる。短期間で管理会社の評価を早急に下したため、かえって管理の質が落ちてしまう事例も珍しくないからだ。

管理組合にとって管理会社は快適かつ安全な暮らしを維持するためのよき協力者でもある。一時の不満にとらわれず、より長期的な目線で判断することこそが管理組合に課せられた役割でもある。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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