「管理組合の資金難」築浅も無関係でない深刻理由 管理会社に不満があり「変更」するときの注意点

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また、電気料金の値上げも管理費圧迫に打撃を与えている。コロナ禍からの景気回復が進み、石炭・液化天然ガスの世界的なニーズが高まった中でロシアのウクライナ侵攻が勃発し、資源価格が高騰し、日本の電気料金も値上げすることとなった。

マンションではエントランスなど共用部分の各種照明やエレベーター、給排水ポンプに加え、機械式駐車場などで電気が使用されている。そのため、電気料金高騰で被る影響は大きくなってしまう。

管理費の負担増の3つ目の要因として挙げられるのが、駐車場使用者の減少による空き駐車場の増加だ。もともとマンションの駐車場は、自治体の条例などにより竣工時に最低設置台数が定められている場合も多い。

しかし入居者が高齢となり、車を手放すケースも増える中、都市部においては若い世代の車離れも進んでいる。収益源であった駐車場の使用料が入ってこないため、管理費の大幅な減収につながっているのだ。

3つの要素それぞれが影響して、管理費圧迫という事態が起こるに至っている。電気料金の削減や空き駐車場の問題については、マンション管理組合で十分な議論が尽くされるべきだ。そのうえで、あらためて見直すべきだと言えるのが普段のマンション管理・維持に大きく関わっている管理会社との関係性についてだろう。

管理会社の変更は簡単には実現しない

管理会社に不満があるのなら、「管理会社はほかにもある。管理組合の意に沿わないのなら、もっと条件のいい会社に変えればいい」と管理会社の変更(リプレイス)を検討すればいいと思う方もいるかもしれない。

しかし今や、管理会社をめぐる状況は様変わりし、リプレイスすれば問題が解消するというシンプルな話ではなくなってきているのだ。

ここで東京23区内にある築2年未満、およそ100戸となる中規模マンションの事例をご紹介したい。この物件は都市圏でなおかつ駅から徒歩5分以内の好立地にあり、通常は不動産価格の上昇が期待できる人気のマンションと言っていい。

この物件では、管理会社の業務水準が管理組合の希望するレベルに達しておらず、改善の申し入れにも応じてもらえないという事態が生じていた。コスト削減の視点からも管理会社のリプレイスで解決を図るのが得策なのではと話がまとまった。

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