共和党の下院奪回が招く米議会の「機能不全」 バイデン大統領「弾劾」の可能性が高まる
前出のゲイツ議員はバイデン大統領と閣僚の弾劾手続きを始めなければ「有権者は裏切られたと感じる」と主張。昨年末、自らのポッドキャストで共和党のテッド・クルーズ上院議員は「雌ガチョウにとって良いことは、雄ガチョウにとっても良い(目には目を、歯には歯を)」と語った。
同氏は共和党が下院を奪還した場合、共和党は史上初めて2回も弾劾されたトランプ前大統領の報復措置としてバイデン氏を弾劾する可能性を予想した。
さらには各種司法問題を抱えるトランプ氏が連邦政府などに起訴されれば、報復措置として弾劾を後押しするであろう。したがって、現在も事実上共和党のリーダー的存在であるトランプ氏のトップダウンによる強力な圧力もかかることになる。
マッカーシー次期下院議長の前任となるジョン・ベイナー氏とポール・ライアン氏といった共和党出身議長2人はいずれもフリーダムコーカスによって議長職を追い出された。その教訓から、マッカーシー氏はMAGA共和党員を敵に回すことを避けるであろう。
ベンガジ調査委員会の再来
共和党が真っ先に弾劾を狙うのはアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官だ。2024年大統領選に向けて支持基盤の関心が高いことが見込まれる移民政策を担う同長官を議会に召喚し、テレビ中継の公聴会で「口撃」するであろう。その後、弾劾手続きに入る公算が高い。
共和党はアフガニスタン撤退の失態やパンデミック対策などの公聴会も実施し、バイデン政権の責任追及をする。アントニー・ブリンケン国務長官やハビエル・ベセラ保健福祉長官なども、弾劾候補の閣僚として共和党の一部は語っている。
2016年大統領選前、民主党のヒラリー・クリントン候補の国務長官時代の失態を追及したリビア・ベンガジのアメリカ総領事館襲撃事件に関する独立調査委員会を彷彿させる。次期議会は「ベンガジ2.0」と化す。またバイデン大統領の次男ハンターの海外ビジネスについて、副大統領時代のバイデン氏が便宜を図った疑惑がないかなど公聴会などを通じ共和党は追及していくことが必至だ。
閣僚に始まり、いずれ大統領の弾劾手続きに入る可能性もある。共和党有権者のうち6割以上がバイデン氏は不正に2020年大統領選に勝利したと捉えている(モンマス大学調査、2022年9月)ことからも、下院共和党が弾劾手続きを始めるのは当然の流れでもある。
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