どのエピソードから見ても問題ありません。人気俳優による組み合わせを揃いに揃え、ある意味選び放題です。
伊藤蘭と石橋凌による遅咲きの恋や、ナオミ・スコットと池松壮亮の国際遠距離カップルといった定番から、水川あさみと前田敦子のキャリアウーマンカップルに、榮倉奈々と柄本佑のセックスレスの元夫婦という少数派もアリ。
そして、成田凌と夏帆のツレうつ的な夫婦や、ユースケ・サンタマリアと永作博美の危険な関係まで楽しめます。それぞれ恋の化学反応が起きる瞬間の胸キュン度は高めです。
エピソード1が「水川あさみと前田敦子カップル」
ただし、個人の好みや経験値、立場によって、好みの振れ幅が大きい作品が並んでいます。順番は問わないオムニバス形式ですが、作品全体の方向性を確認しやすいエピソード1にターゲットを狭めるようなストーリーを持ってきたのは難ありです。
問題のエピソード1のタイトルは「息子の授乳、そしていくつかの不満」というもの。水川あさみと前田敦子のキャリアウーマンカップルが母乳神話の呪縛に囚われた話です。恋愛が軸となるエピソードが多いなかで、家族間の愛情に目が向けられています。安定感のある水川と前田の演技は何ら遜色なく、子育て中に気づかされる愛し方に深く共感を覚える視聴者もいるでしょうが、毛色の異なるエピソードから始まる並びは少々もったいなく思います。
好みのエピソードにたどり着くと、もう一度見たくなる作品にもなり得ます。役者以外に選ぶ基準としてわかりやすいのがクリエイターです。「モダンラブ・東京」は国際派監督の平栁敦子が全エピソードの脚本から演出、製作まで一貫して統括するショーランナーと呼ばれる立場を担当し、黒沢清、荻上直子、廣木隆一、山下敦弘といった錚々たる面々が各話の監督を務めています。
黒沢清作品が好みであれば、エピソード5のミステリー仕立ての恋愛劇「彼を信じていた十三日間」は必見です。
ユースケ・サンタマリアと永作博美が演じる2人の関係は始まりから危うさが漂います。人を信じることへの儚さと自身の中で生まれる強さの中で、川の中にたたずむ男とそれを見つめる女が辿り着くラストも捻りが利いています。
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