仮想通貨のリーマンショック、FTX破綻騒動の顛末 業界一の「優等生」が突然破綻危機に至った経緯

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一方、ジャオ氏は最大のライバルを征服したことを喜んでいるようで、「自分が作ったトークンを担保に使ってはいけない」などの教訓をツイートしている。

FTXの突然の破綻は、仮想通貨の未来について多くの疑問を投げかけている。

まず、FTXの顧客とそのお金はどうなるのだろうか。伝統的な銀行口座の預金とは異なり、仮想通貨取引所の預金は政府によって保証されておらず、FTXに残っている顧客の資産を保証できるだけの資産があるかどうかが疑問視されている。

同社が破産申請した場合、仮想通貨企業である「Voyager Digital(ボイジャーデジタル)」と「Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)」が今年行ったように、投資家は資金、またはその残りをめぐって裁判所を通じて争うことになるかもしれない。

第2に、仮想通貨の規制の将来が危ぶまれている。FTXは、ロビー活動に多額の投資を行った数少ないアメリカの仮想通貨企業の1つであり、バンクマン=フリード氏は、懐疑的な議員を説得できる可能性が最も高い「ホワイトナイト」と見なされていた。だが、今回の件によって仮想通貨を制御不能な「ワイルド・ウエスト」として描きたい規制当局にとって、その実例がまた1つ増えてしまった。

仮想通貨投資家のキャサリン・ウー氏は8日、「本当に気分が悪いニュースだ。私たちの業界が直面しなければならない潜在的なダメージについて、評価することさえできない」とツイートしている。

広範な金融市場への影響は?

第3に、FTXの破綻は、2008年のリーマン・ブラザーズの破綻のように、より広範な市場の破綻を引き起こすのだろうか。

すでに、このニュースは仮想通貨市場のほかの部分にも波及している。ビットコインとイーサの価格は8日、ともに下落し、ソラナ(FTXがサポートしてきた仮想通貨)の価格は約20%下落した。Coinbase(コインベース)など、上場している仮想通貨企業の株価も下落した。

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