仮想通貨のリーマンショック、FTX破綻騒動の顛末 業界一の「優等生」が突然破綻危機に至った経緯
・世界中の仮想通貨取引の大半が行われている取引所は2つある。バイナンスとFTXだ。
・バイナンスは、2つの取引所のうち大きな取引所で、中国生まれの億万長者、チャンポン・ザオ氏(暗号業界ではC.Zとして知られている)が運営している。バイナンスの運営はやや不透明で、正式な本社がなく、運営している多くの国で当局や規制当局ともめているが、非常に成功しており、現在は仮想通貨交換市場の約半分を支配している。
30歳の億万長者が運営していたFTX
・バハマに本社を置くFTXは、30歳のアメリカの億万長者で民主党の大口献金者であるサム・バンクマン=フリード氏が経営している。前回の資金調達ラウンドの時点の評価額は320億ドルだった。
FTXは、スーパーボウル広告、スポーツスタジアムの命名権(マイアミ・ヒートはFTXアリーナが本拠地)、ビル・クリントン元アメリカ大統領や、プロフットボール選手のトム・ブレイディ氏といった有名人が集まる豪華な会議などに数百万ドルを投じていることもあり、アメリカではバイナンスより知名度が高い。
・FTXはまた、仮想通貨の「優良企業」の1つと見なされている(今週まではそうだった。ほかの仮想通貨市場が急落したときでも生き残った、安定した十分な資本を備えたビジネスという意味だ。実際、同社は今年の大半を「ほかの」仮想通貨企業の救済に費やしており、投資家からは一般的に、リスクの高い投機的な取引や顧客の資金を使ったギャンブルに従事しない、責任ある成長した会社と見なされていた。
「S.B.F.」として知られるバンクマン=フリード氏は、FTXの成功によって非常に有名になった。彼はまた、仮想通貨業界の「ポスターボーイ」でもあったーーショートパンツをはいた、ボサボサの髪の風変わりで気取らないオタクであり、法を遵守する仮想通貨の大御所としての評判を築いてきたのだ (最近の表紙で、フォーチュン誌は同氏を「次のウォーレン・バフェット」と書いている)。