ロシア政府内で歯に衣着せぬ強硬派が台頭している。これを受け、国外でのさらなる対立と国内での全面的な抑圧を求める強硬派の声にプーチン大統領が耳を傾けるのではないかと内部者は懸念を強めている。
かつては取るに足らないと考えられていたエフゲニー・プリゴジン氏のような人物が、プーチン大統領の包括的な戦争への取り組みの動きを公に支える勢力となっており、こうした状況を企業の経営幹部や政府当局者は不安を募らせながら見守っている。プリゴジン氏は自身の傭兵会社ワグネルで知られるほか、ウクライナでの戦争のために刑務所で新兵を募集したとされている。
ロシアの刑務所で新兵募集か-ウクライナ戦争に行けば早期釈放の条件
戦争への協力に十分に熱心ではない実業界の大物に対して、プリゴジン氏は公然と「緊急のスターリン時代の抑圧」を求めている。これを受け、一部のロシア人富裕層は自身および家族の身の安全を懸念しているという。
プリゴジン氏は軍の司令官も公然と攻撃し、その一部はその後解任されたほか、プーチン氏の盟友であるサンクトペテルブルク市知事も同氏の標的となっており、政府が身内を守ることに消極的もしくは無力であることに官僚の間でも懸念が広がっている。
ロシア政府当局者が第2次世界大戦中のソ連の独裁者スターリンの言葉に倣ってウクライナ侵攻を「人民の戦争」と呼ぶ中にあって、一部の内部者はスターリン時代の粛正や恣意(しい)的な逮捕が行われる日も遠くないと懸念する。予備役30万人が招集される中、当局者はお互いにひそかに家族が安全か確認し合い、兵役年齢に該当する子どもを海外に送ったことを公然と認めたことを心配していた。