「アルコール」が原因で死ぬ人は想像以上に多い 米国では20〜34歳の死因の25%が飲酒がらみ

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コロンビア大学のキャサリン・キーズ教授(公衆衛生研究、同じく今回の研究には非関与)は、今回の研究で問題の厳しさが浮き彫りになったと話す。「科学が次に進むべきは、『では、どうするか』の研究だ」。

州によってアルコールが及ぼす影響に違いがあることが今回の研究で明らかとなったことに、キーズ氏は希望を見いだしている。現役世代の死因のうちアルコールによるものはミシシッピ州では9.3%だったのに対し、ニューメキシコ州では21.7%に上り、さらに20〜34歳では3人に1人という結果になっていた。「ぞっとする」数字だとキーズ氏は言う。

酒税の引き上げや販売規制の強化が必要

とはいえ、地域よってこれだけ差があるということは、個々人の飲酒習慣が環境に大きく左右されるものであることを示してもいる、とキーズ氏は語る。影響が深刻な地域は、アルコールがそこまで害になっていない地域に対策のヒントを学ぶことができるかもしれない、というわけだ。

専門家らは、治療へのアクセスには改善の余地が大きいと言う。アメリカでは1450万人ほどがアルコール使用障害に苦しんでいるが、医療機関がアルコールの過剰摂取を減らすよう促したり、飲酒の欲求を抑える薬を処方したりすることは多くない。

CDCのエッサー氏は、政策的な対応が必要だと指摘する。「エビデンスに裏付けられた戦略は存在するが、十分に活用されていない」。CDCの地域予防サービス・タスクフォースが推奨する対策には、酒税の税率引き上げや酒類販売店の数や集中度を規制する、といったものがある。

連邦議会は昨年、連邦酒税の恒久減税を行っているうえ、州の酒税もインフレに見合ったものになっていないところが多い。ただ、健康被害が深刻な州の中には対策を求める活動が始まったところもある。オレゴン州では酒税の引き上げを求める運動が起こっており、ニューメキシコ州の議会でも最近、酒税引き上げに関する聴聞会が開かれている。

(執筆:Ted Alcorn記者)
(C)2022 The New York Times

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