画面の中の「乗れないクルマ」が売れると言える訳 メタバースで「クルマがファッション」になる日
NFTと現時点で相性がいいのは、ラグジュアリーブランドやデザインを重視しているブランドだ。2022年にワールドカーオブザイヤーに加え、EV賞、デザイン賞の世界3冠を獲得した「IONIQ 5」を販売するヒョンデ(現代自動車)は、「IONIQ 6」のプロモーションのためにNFTコレクションを配布している。
高級車メーカーであるマクラーレンは、「MSO LAB」というデジタルコミュニティを創設し、メンバー間のコミュニケーションや、NFTの販売を行っている。
自動車業界以外ではさらに進んでいるおり、2022年8月時点のNFT関連プロジェクトの売り上げは、ナイキ:1億8500万ドル(記事執筆時のレートで約276億円)、ドルチェ&ガッバーナ:2565万ドル(同約38億円)、ティファニー:1262万ドル(同約19億円)、アディダス:1090万ドル(同約16億円)にもなるというデータがある。すでに大きな収益を上げる企業も出始めているのだ。
有料アイテムもNFTもデジタル上で取引されるため、原材料を仕入れ、加工し、工場で生産し、輸送し納車する既存の自動車ビジネスよりも、利益率の面で大きく上回ることは言うまでもない。
Fortniteのアバター市場は数十億円
最後に、アバターのファッション市場の大きさを紹介しておこう。メタバース的な要素を持つゲームであるEpic Games(エピックゲームズ)社の「Fortnite(フォートナイト)」を例に取ると、プレイ自体は無料であるが、有料のファッションアイテムを購入するプレイヤーが多い。
この売り上げだけで、2019年には42億ドルにもなったという情報もあり、プラダやサンローランなどの世界的高級ファッションブランドを上回っている。2019年時点でこの金額であるので、コロナ禍によって世界的に巣ごもり消費が増えたその後を考えると、さらに売り上げは大きくなっているだろう。
リアルな世界ではコロナ禍の影響をもろに受け、新型コロナウイルス関連の倒産件数も多いアパレル業界であるが、デジタルな世界でのファッション市場は大きい。この流れがメタバースの拡大に伴い加速し、そこにクルマも組み込まれる可能性は大いにある。
(2)リアルな世界へつながるブランドイメージの形成
(3)顧客エンゲージメントの獲得
(4)新車購入
メタバース内での出会いをきっかけにリアルな新車を購入する。こんな新たなカスタマージャーニーが生まれるかもしれない。
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