コロナ禍で、日本の消費者はどう変わったのか あきらめたもの、それでも手放さなかったもの
近所づきあいなども減り、人づきあいは関係の薄いものから否応なく淘汰された。その結果、「やめてみたら困らなかった」ものもあったということが、2018年から2021年にかけての「人とのつきあい・交際費」の5%ダウンに表れている。
失われた「日本の未来への幸せの種」
しかし、人づきあいは本当に断捨離してしまってよいものだったのだろうか。週1回以上会話・連絡を取り合う人(直接会うだけでなく、電話や電子メール、SNSなどによるつき合いも含む)の種類が豊富であるほど、幸福度スコアが高いという結果が得られている。人と会わない、話さないことによって、幸せ実感は失われていくのだ。
また、日本の婚姻数は、コロナ禍に入り大きく減少している。気の進まない「飲みニケーション」や、切実度・優先度の低い人づきあいを「やめてみても困らなかったもの、要らなかったもの」として片づけてしまうのは簡単だが、義理で出かけた集まりがきっかけで生涯を共にする相手に出会うようなこともあるかもしれない。恋愛だけではなく、一生つきあい続けられるような親友、日々の悩みを相談したり一緒に出掛けたりできるような相棒、今後の人生を考える上で参考にできるロールモデルとなる先輩など、運命の出会いは一見無駄に見えるような人づきあいから生まれることもあるだろう。
コロナ禍で「日本を誇りに思う」意識が失われ、人と人との出会いが減り、結婚が減り、そこから生まれたはずの子どもも減るということは、日本の未来に向けて本来は蒔かれていたはずの幸せの種が減ってしまっているということである。経済的なダメージの大きさもさることながら、日本の未来にとってはこちらの方が、より失われてはならない大きな損失である。今一度、日本人としての誇りと団結力、人とのつながりの大切さを見直し、取り戻すことが、コロナ禍によるダメージからの回復として非常に重要な課題だろう。
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