コロナ禍で、日本の消費者はどう変わったのか あきらめたもの、それでも手放さなかったもの
一方で、「自分の親」「配偶者の親」などについては、健康状態の確認などの意味合いもあって増加しており、コロナ禍には人づきあいの「辺縁部分」をそぎ落とす影響があったようだ。
なお、「学生時代や子どものころに知り合った友人」や「インターネットなどを通じて知り合った友人」など、SNS等のインターネットでつながっているとみられる関係性は減少しておらず、むしろ増えている。どちらも長期的に伸びている項目であり、情報通信技術によって活性化された人づきあいと言えるだろう。
人づきあいはやめても困らなかった?
今後の消費の重点分野として、「人とのつきあい・交際費」は「外食」や「旅行」などとともに、これまで上昇トレンド・高水準の項目の1つだった。しかし、2021年調査で「外食」や「旅行」が増加を続けたり、水準を維持しているのに対し、「人づきあい」は30%から25%へと、一転して大きく減少している。
外食や旅行などのこれらの項目は、コロナ禍で一時的に自粛が要請されることとなっても相変わらず強く、今後も積極的にお金を使っていきたい分野として拡大・維持を続けていることから、自粛解禁時にはリベンジ消費が起こりやすい分野であると予想できる。
一方、「人づきあい」もコロナ禍で自粛を余儀なくされたが、こちらは外食や旅行と異なり、コロナ禍が収束しても増やしたいとは思わない項目ということになる。調査時の2021年8月といえば、コロナ禍でリアルでの会食や飲みニケーションができなくなって1年以上が経過したタイミングである。人づきあいを減らしてみても、案外困らずに日々を過ごしてこられた、という実感を持つ人が一定数いたということだろう。
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