コロナ禍で、日本の消費者はどう変わったのか あきらめたもの、それでも手放さなかったもの

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調査が実施された2021年8月は、コロナ禍により延期された東京2020オリンピック競技大会の開催中およびその直後であり、コロナ禍第5波の急激な感染者数の増加に見舞われていた時期だ。開催の是非を問う声や、開催中の感染拡大予防についての諸対応についての批判も大きかった。

特に、今回下落幅の大きい20~30代若年層はワクチン接種の優先順位が低く、感染拡大する中でも自己防衛しながら就業しなければならなかった。そのため、政府に対する不信が強く出た面もあったと思われる。いまだ収束には至らず長期化しているコロナ禍だが、国・政府の舵取りについて国民は厳しい目で見続けていることは間違いない。

コロナ禍でそぎ落とされたのは人づきあいの辺縁部分

コロナ禍で失われた大切なもの、もう1つは「隣近所の人とはお互いに干渉しない方が良い」の増加や、「地域をよくするための活動には参加すべき」の減少など、人づきあいに対する積極性だ。

「迷惑がかからなければ、隣近所の人とはお互いに干渉しない方が良い」は、1997年からの長期的変化では減少トレンドにあり、日本人は近所づきあいの大切さを再認識する傾向にあった。それが、人との接触を避けるべきとされたコロナ禍の2021年には5%も反発上昇しており、非接触・無干渉の傾向が強まってしまった。

さらに、「地域をよくするための活動には参加すべき」は2021年に3%減少した。地域の清掃活動やお祭りなども開催が見合されるようになり、隣近所とのつきあいのきっかけや社会的強制力が失われてしまったことがうかがえる。いずれにしても、コロナ禍が「人づきあい」を希薄化させる方向に働いたことには変わりない。

価値観だけでなく、実際の人づきあい自体も希薄化している。週に1回以上、会話をしたり、連絡をとったりしている関係(直接会うだけでなく、電話や電子メール、SNSなどによるつき合いも含む)についての変化を見てみると、減少が大きかったのは「地域・隣近所の人」に加え、「趣味や習い事などを通じて知り合った友人」、「子どもを通じて知り合った友人」などであり、必須度の低い人づきあいは淘汰される傾向が見られる。

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