投資で大損・退場する残念投資家が知らない3心理 行動経済学「学ぶ」「学ばない」は大きな差を生む

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特徴その1:参照点依存性

参照点依存性とは、評価が、自分の基準としている参照点と、比較しておこなわれることです。『ファスト&スロー』では次のように説明されています。

「金銭的結果の場合には、通常の参照点は現状すなわち手持ちの財産だが、期待する結果でもありうるし、自分に権利があると感じる結果でもありうる。たとえば、同僚が受け取ったボーナスの額が参照点となることは、大いにありうるだろう。参照点を上回る結果は利得、下回る結果は損失になる」

具体的な例で考えてみましょう。

【例1】まず、皆さんが10万円をもらったとします。その上で、以下の選択肢があった場合、どちらを選択するでしょうか。

①50%の確率で10万円をもらえる
②5万円を確実にもらえる

【例2】次に、皆さんが20万円をもらったとします。その上で、以下の選択肢があった場合、どちらを選択するでしょうか。

③50%の確率で10万円を失う
④確実に5万円を失う

深く考えずに直観的に判断すれば、他の多くの方と同じように【例1】では確実にお金をもらえる選択肢②を、【例2】では損失を出さない可能性が残っている③を選択する読者が多いのではないでしょうか。

実はこの例では、結果が確実な選択肢である②と④を選ぶと手元には15万円が残ります。また、不確実性が残る①と③を選択すれば、いずれも50%の確率で10万円が手元に残ります(または50%の確率で手元に20万円が残ります)。

手元に残る金額が選択肢①・③と選択肢②・④が同じであるにもかかわらず、選択肢②・③を選択する方が多いのは、参照点が【例1】では10万円、【例2】では20万円となっているためです。

参照点からは【例1】で選択肢②を選ぶと5万円のプラス、【例2】で選択肢④を選ぶと5万円のマイナスとなります。人は損失を嫌うため、【例2】では損失を回避できる可能性が残っている選択肢③を選好する傾向にあります。(※外部配信先では図や表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

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