後継6人とも力不足「安倍派」に迫る空中分解の危機 萩生田、西村、世耕3氏の共同代表制が有力?

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安倍氏と親密だった甘利明前幹事長(麻生派)は、安倍氏死去後の7月20日に自らのメールマガジンで、「(安倍派は)『当面』というより『当分』集団指導制をとらざるを得ない。誰一人、現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もない」と皮肉たっぷりに指摘。安倍派の総裁候補の面々は猛反発したが、党内では「きわめて自然な分析」(閣僚経験者)と突き放す声が多かった。

安倍氏亡き後、後継会長選びも含め、安倍派のまとめ役が務まるのは、「森喜朗元首相と細田氏の2人だけ」(安倍派幹部)とみられていた。ところが、森氏は東京地検の捜査が続く「五輪汚職」での“渦中の人”となり、細田氏も岸田政権を揺さぶる「旧統一教会」と安倍派の“癒着”の中心人物として厳しい批判にさらされ、「身動きが取れない状況」(同)だ。

しかも、安倍氏自身の旧統一教会との密接な関係が問題視される中、安倍氏最側近をアピールしてきた下村、萩生田両氏も、旧統一教会との「親密な関係」が厳しく批判されている。だからこそ、後継会長選びが「本命も仲介役も不在」(同)で迷走しているのだ。

森氏の腹案は「萩生田・西村・世耕3氏の共同代表制」

そうした中、現在の「安倍派集団指導体制」の中軸となっているのは塩谷会長代理、松野官房長官、高木国対委員長(事務総長)、西村経産相、萩生田政調会長(幹事)、世耕参議院幹事長(清風会会長)の6氏。「これまで会長代理だった下村氏は、世代交代に反するとの理由で外された」(安倍派若手)とされる。

この6氏の水面下での相談相手となっているのは、やはり森氏だ。一時有力視された「塩谷会長案」については「最終的に森氏がつぶした」(同)との情報も出回った。

もともと、最大派閥への影響力維持に執念を燃やす森氏に取って、「派閥分裂だけは避けたいのが本音」(側近)だ。そこで森氏が、山口県民葬に先立ってひそかに提案したのが、「萩生田、西村、世耕3氏による共同代表制」だったとされる。

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