後継6人とも力不足「安倍派」に迫る空中分解の危機 萩生田、西村、世耕3氏の共同代表制が有力?
確かに森氏は、森派を引き継ぐ形で派閥会長となった町村信孝氏(元衆院議長・故人)が福田康夫内閣の官房長官に就任した際、派閥会長制をいったん廃止して町村氏と中川秀直(元幹事長)、谷川秀善(元参院幹事長)両氏を代表世話人とする集団指導体制に衣替えさせたことがある。
総裁選出馬を目指す町村氏と、そのライバルとして党幹事長を辞任して派閥に復帰した中川氏を並び立たせ、そこに参院実力者の谷川氏を加えるという派内混乱回避のための苦肉の措置だ。ただ、報道される派閥名は町村派のままだった。
その一方で、今回の「共同代表制」は「3氏を将来の会長・総裁候補と位置付けて競わせるのが狙い」(自民長老)とされるが、当事者も含め派内からは反対論が相次ぐ。「次に1人に絞るのが困難」(安倍派若手)なことに加え、参院の安倍派を統率する世耕氏が総裁候補になるために衆院鞍替えを狙っていることが背景にある。
参院安倍派として世耕氏をリーダーに結束している清風会(40人)は派内最大勢力。世耕氏も「私が共同会長に加わらなければ、集団指導体制は成り立たない」と漏らしていることに、衆院側が反発しているからだ。
後継選びで繰り返してきた「派分裂」
そもそも、安倍派は半世紀前の1972年夏に故福田赳夫元首相が立ち上げた「福田派」が源流だ。ただ、福田氏や安倍晋太郎氏など歴代領袖の会長引退や死去後の後継争いで、派分裂を繰り返してきた歴史がある。
今回の会長選びの迷走の裏側には、2024年9月の次期総裁選に向け、最大派閥として総裁候補を出すべきだという主戦論の強まりがあるとみられる。本来なら、安倍氏死去に伴って呼称も「旧安倍派」になるのが通例だが、派内の中堅若手議員が「安倍派」存続を望むのは、「誰が後継会長になっても、安倍派という派閥名がなくなれば選挙に不利」(若手)との不安からだ。
しかも、「10増10減」による新たな区割りの選挙区での戦いとなる次期衆院選では、有力な複数の後継会長候補の苦戦も予想されている。それだけに、「現在の集団指導体制で結束を維持しようとしても、次期総裁選や衆院選が迫れば、その時点で空中分解の危機を迎える」(安倍派長老)との声も出始めている。
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