日経平均の「4月高値説」は正しいか? 「日経平均株価」の見方を教えよう

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それでは、2月に大幅高となった今年に、この上昇パターンが当てはまるかどうか。ポイントは3月16日~17日の日銀金融決定会合、3月17日~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)です。

気になる、自動車株の値動き

そこで気にしなければいけないのは、債券市場と為替市場の動向です。日経平均はすでに2007年の高値を上回り、中期的には安定軌道に入った見方ができますので、あとは円安=株高、円高=株安という、円相場と株価の連動性が続くかがカギとなります。

というのも、「アベノミクス相場」では円安.・株高が一気に進み、円安メリットがある輸出企業の株価も大きく上昇しました。しかし、3月6日、米国の2月雇用統計が発表され、予想を上回る結果に金利が上昇、ドルが買われ、ドル円は一時7年8か月ぶりに1ドル=122円台まで円安が進みました。

しかし、それにもかかわらず、自動車株の株価が思った以上に上昇しません。これは何かを示唆しているのでしょう。株価は正直です。「株価が上がってた理由はやっぱりそれなんだ!」とか、「だから株価の上値が重かったのね!」といったように、その背景に隠れている材料は、あとになって明らかになるものです。この先、円安メリットを打ち消す「何か」があるのか?円高になっていくことを示唆しているか? いずれにしても、自動車が売れ続けないと、株価の上昇はどこかで止まってしまいます。

10日付の日経新聞の記事がとても印象的でした。米住宅市場の研究の第一人者であるロバート・シラー教授のコメントです。「米住宅市場は10年前は年間の値上がり期待があったため、当時6%の金利でも利ざやは十分にあったと。でも、現在は値上がり期待とローン金利が同じ水準なので、いまひとつ盛り上がらない」。

その理由のひとつに、家を買う若者が減ったという構造的な要因を挙げていましたが、ここに金利上昇が加わったら、個人消費の比重が高い米国景気には負担です。金利が上がれば、車も今より売れなくなるかもしれません。だから、株式市場は金利の動向にすごく敏感です。そのあたりが日本の自動車メーカーの株価の重荷になっているのです。

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