それは、どうして?
「キャラクターとして扱われることで、治外法権が得られたというか(笑)。テレビに映っているのは編集もあってデフォルメされた存在ですが、それまで隠してきた私の背景も映っていたから。『じゃあ、あなたは普通じゃないから仕方ない』という感じで認めてもらえた。それまでは海外旅行に出かける事で妬まれることもあり、後ろめたさから頻度を偽ったりしていたのですが、認知されてからは、『今月は何カ国行ってきたの? もっと行かないと』なんてツッコまれるようになって(笑)。
自分を隠さず、堂々と表現しやすい環境になったんですよね。包み隠さず自分を伝えられるようになって、元来の正直な自分でいることが、こんなにも心地よいことだなんだと気づきました」
人生を変えた、もう一つの大きな出会い
彼女の人生を変えた、もう一つの大きな出会いがある。
「それは、走ることとの出会いです。26歳のある日、世界遺産を見学するために宿泊していたホテルで朝、ふと『外を走ってみたら気持ちよさそう』と閃いて。まだ薄暗い時間に走り始めたら、やがて、街並みが朝日に染まっていき、目的地は黄金色の風景が広がっていたんです。
その光景を目の当たりにした時、私達はなんて美しい世界に生きているんだと感じて、生きている事の素晴らしさを改めて実感しました」
それから、国内外どこにいても走ることが生活の一部になった。
「いちばん好きなのは朝焼けを見ながら走ることです。エネルギーに満ちていて、一瞬で変わりゆく色彩のグラデーションは繊細で豊か。どこにいても早起きして走れば毎日幸せを感じられるから、きっと幾つになっても朝のランニングやお散歩は続けていると思います」
走れば、美しい世界を自ら迎えにいくことができる。それは、彼女にさらなる大きな自己肯定感をもたらした。
「自分を愛する方法、人生を好転させる方法はたくさんありますが、私にとって運動は大きいかなと思います。だって、人間も動物ですし、よく食べて動いて眠ることは、健やかに自分を愛するための基本ですよね」
走ること、体を動かすことは、自分を知り、より深く愛す最大の術であるだけでなく、新しい扉を開ける鍵にもなった。運動に覚醒した彼女は、さらには、ロードバイクなど、10種類以上のスポーツにのめり込むように。そのライフスタイルがアディダスの目にとまり、グローバルアンバサダーに任命された。スポーツトラベラーという新しい肩書きも得た。
「世界中を旅すること、そこでスポーツを楽しむことは私のライフスタイルなので、ピッタリな言葉です。おかげで、モデルとして、タレントとしての私の個性やスタンスも明確になりましたし、大好きなスポーツ関係のお仕事の幅も広がりました」
それは、モデルとしても、1人の人間としても、彼女という花がほころび始めた瞬間だった。
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