一夜で「右側通行」が左に、沖縄"730"の大事業 バスのドアも車体右から左へ、どう対応した?

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一方、730で大量に導入されたバスは「生きた歴史遺産」として現地に残っている。現状では、沖縄バス(三菱製)、東陽バス(日野製)が毎週日曜の午前中に営業運転されることになっている。「復帰50周年当日」が日曜だったこともあり、筆者は記念に乗りに行ったが、東陽バスの730車に乗れたにとどまった。さまざまな事情で車両変更があるようだ。

東陽バス730
東陽バスの「730」車(筆者撮影)

その後しばらくして「ちむどんどん」のヒロイン暢子が730後に沖縄に帰省、山原を訪れるシーンで、沖縄バスの730車が登場したのを確認できた。「沖縄も東京と同じ、左側通行になった」といったくだりのセリフもあり、バスマニアの心をくすぐったかもしれない。

右側通行の国を走る日本の中古バス

東南アジアのラオスやミャンマーでは、日本の中古バスが使われている例がある。ヤンゴンではドアを車体右側に付け替えて右側通行の道を走る、わが故郷の名古屋市市営バスを見たときは涙が出た。

面白いところでは、左側通行のタイと右側通行のラオスとの間を行き来している「京都市営バスの中古車」がある。国境には、通行方法を切り替えるための「エックスクロッシング」という平面交差が造られているが、ここを日本の中古バスが走る様子を見て「ああ、730のときはこうして通行方向が切り替えられたのかなあ」と実感するに十分な場所だ。ちなみに、こうした「通行方向を平面交差で変える地点」は世界でも極めて少なく、旅行で気軽に訪れられそうな場所はタイの陸路国境くらいしかないのではないか。

50代以上の沖縄県民なら、おぼろげでも「あの日の混乱」を記憶しているであろう「730」。現地に行く機会があったら、ぜひナマの声を聞いてみると興味が深まることだろう。そして沖縄に残る2台の730車が令和の世にもずっと生きながらえることを期待したい。

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さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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