一夜で「右側通行」が左に、沖縄"730"の大事業 バスのドアも車体右から左へ、どう対応した?

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ちむどん号
NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に登場したバス。かつて沖縄の道路交通が右側通行だった時代は車体右側にドアのあるバスが走っていた(筆者撮影)
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沖縄県の本土復帰50周年に合わせ、2022年4月から9月末まで放映されたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。アメリカ統治下にあった1960年代から1980年代にかけての沖縄の生活模様が随所に感じられたこのドラマでは、「復帰後最大のプロジェクト」と言われた道路交通の右側通行から左側通行への変更、通称「730」(ナナ・サン・マル)に絡んだエピソードが随所に織り込まれていた。

道路が右側通行から左側通行に変わることは、人々にどれだけの影響を与えるのか。今も現在進行形で起きている海外の事例とともにその状況を紹介したい。

アメリカ統治下で右側通行に

「ちむどんどん」のドラマ前半では、車体の右側に乗降口が付いたバスが登場した。これは、アメリカ統治時代の名残で、返還後もしばらく沖縄県が右側通行だったことによる。

もっとも終戦前の沖縄では、本土と同様に左側通行だった。その後、アメリカによる占領下で1945年11月に「右側通行とする」と定めた指令により、通行方式がアメリカ本土と同じ右側通行になった。

筆者は沖縄本島で、実際にドラマに登場したバスの現物を見ることができた。左側通行の空間に突如、左ハンドルに右側乗降口のバスが忽然と目の前に現れる光景はまさに異様だった。実際にはこのバスはアメリカ統治時代から沖縄を走っていたものではなく、アメリカGM製のバスが使われた。

車体を細かく見ていくと非常にリアルで、ドラマの映像にはあまり映り込んでいなかった当時の世相背景を参考に作られた広告や英語のスローガンが書かれたポスターが貼られ、完成度の高さが感じられた。

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