ベンツ「SL43」完全AMG設計で伝統+革新の超進化 最新技術満載で高級ロードスターの新時代へ

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タービンを電動駆動することで、アイドリングから全エンジン回転域でレスポンスを改善するだけでなく、アクセルを離したりブレーキを踏んだりしたときにもブースト圧を維持するため、レスポンスが途切れることなく得られるという。

また、48Vマイルドハイブリッドも採用されている。メルセデスのBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)としては第2世代で、短時間の出力ブーストのほか、セーリングモードや回生ブレーキにより効率を最大限に高める役割を持つ。

M139搭載のパワートレイン(写真:メルセデス・ベンツ日本)

トランスミッションは、トルクコンバーターを使わない9速の「AMG スピードシフト MCT」が採用された。湿式多板クラッチによる、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現するもので、これまで「63」にしか搭載されていなかったものだ。

こうしたテクノロジーにより、0-100km/h加速4.9 秒、最高速度275km/h を実現している。

ラグジュアリーロードスター新時代へ

サスペンションには、可変ダンピングシステムを搭載した高性能なアルミニウム製ダンパーと軽量コイルスプリングを搭載した新開発の「AMG RIDE CONTROLサスペンション」を標準装備。

前後アクスルに搭載されたすべてのサスペンションリンクとステアリングナックル、ハブキャリアを鍛造アルミニウム製とすることで、バネ下重量の低減を図る。サスペンション制御装置では、加速センサーやスピードセンサーのデータを解析し、各輪に対する減衰力を数ミリ秒で調整して状況に適合させるという。

もちろん、安全運転支援システムもメルセデスらしく万全で、緊急回避補助システムやアクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)なども含め、ありとあらゆる機能が搭載されている。

「PRE-SAFE サウンド」は、システムが不可避の衝突を検知すると、車両のスピーカーから鼓膜の振動を抑制する音を発生させ、鼓膜の振動を内耳に伝えにくくすることによって、聴覚への影響を低減するシステムだ。

初代「300SL」ロードスターと並べて(写真:メルセデス・ベンツ日本)

2022年は、1967年にAMGが誕生して55年、1952年に300SLが発表されて70年にあたる。この記念すべき年にAMGによる完全新設計で登場したSLは、そのテクノロジーも含めて、ラグジュアリーロードスターの新たな姿を示していたといえる。本国で発表済みの「SL55」や「SL63」の導入も待ち遠しい。

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木谷 宗義 自動車編集者

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きたに むねよし / Muneyoshi Kitani

1981年、神奈川県生まれ。大学卒業後、専門学校で編集を学び、2006年よりフリーランスの編集者/ライターとしてキャリアをスタート。取材・執筆、編集、ディレクション業務のほか、当初よりメディア運営に携わる。現在は自動車編集者として、初心者向けからマニア向けまで幅広く自動車コンテンツの制作やプロデュースを行う。type-e.inc代表取締役。

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