私が学生たちを相手によくやるゲームがあります。性的関係がある2人の人物をめぐるいくつかのシナリオを提示し、それが売春であるかどうかを判断させるのです。
まずは小手調べに、わかりやすい状況として、一方が他方にセックスの対価としておカネを支払う場合。もちろん、どんな学生もこれを売春と答えます。
次にもっと微妙な、女性が家賃代わりに大家とのセックスに応じているというケースです。男女の別を問わず大半の学生は、これも売春と考えます。
さらに週末のニューヨーク旅行と引き換えに、女性がセックスに応じる場合。これを売春と答える学生は減っていき、男女間での受け止め方の差が広がります。
ゲーム最後の設問はいつも同じ。男性がバーで女性に飲み物をおごり続け、女性は借りを作った気がして、セックスに応じる場合。
女子学生は引きつった表情で「売春ではない」と言います。女性は男性と寝る契約をしているわけではなく、なんなら途中で帰ることもできるからというのです。ほかのどのシナリオの場合でも同じなのではと指摘しても、頑として意見を変えません。
面白いのは、男子学生の反応です。彼らはたいてい意見を決めかね、答える前にある疑問をぶつけてきます。「その酒の値段、いくらくらい?」
男性の期待と女性の受け止め方の温度差
この問答に現れる、女子学生はデートの際に、男子学生ほどにはセックスに応じる義務を感じていないという傾向は、心理学者スーザン・バソウとアレクサンドラ・ミニエリの実験でも確認されています。
この研究結果で最も面白いのは、女性被験者は「高価な食事をごちそうになったからといって、セックスに応じる必要はない」と考えているのに対し、男性被験者は「より高価な食事をごちそうするほど、セックスを要求する権利が増す」と考えていることです。
もしそうなら、私の教室の男子学生たちが、女性にセックスに応じる義務があるかどうかを答える前に、酒の価格を聞くことの理由になります。
この実験では、まず学生に男女(ジョンとケイト)がデートに出かけるという物語を読ませます。ストーリーは、ジョンがケイトを部屋まで送っていき、彼女はつっぱねているのに、セックスをしてしまうというものです。
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