アニサキス・アレルギー、意外に知らないカラクリ 「アニサキス症とは別物」、発作抑える魚の選び方

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くじらなどの海中哺乳類は第1宿主だから、内臓はアニサキスの巣だが、人間が食用にするのは内臓以外の鯨肉だ。哺乳類の場合、アニサキスが内臓以外の部分に忍び込むことはないので、鯨肉を食べても一緒にアニサキスを摂取する危険はない(内臓を食べるのは不可)。

海の魚も、すべてノーではないが、どの魚が大丈夫か、見極めは難しい。安全第一なら、医師の指示に従って「海の魚類はいっさい食さず」という禁欲生活を貫くしかない。

だけど、魚好きはそうはいかない。アニサキスがいない魚を探し求めて研究や調査を重ねた。結果、食べてもアニサキス摂取の危険性がないと判断できる魚が浮かび上がった。

すべてのアニサキス・アレルギーの人たちに「絶対に安心」と保証できるデータではないが、アニサキス・アレルギー発症の後、以下の基準で自分流に可否を見極め、OKの魚は恐れずに口にしてきた。14年余り、実際にずっと食べて、何も問題はなかった。

オキアミを捕食しない魚かアニサキスが除去された魚か

摂取可と判断した魚の第1の分類は、いしがきだい、いしだい、うまづら、かわはぎ、ぐち(にべ)、こうなご、このしろ(こはだ)、まこがれい、めばるなど、例外的に「生態上、オキアミを捕食しないとされている魚」である。第2は、魚介類の処理の仕方によってアニサキスが除去され、摂取の危険がない場合だ。

通常、人間は魚の身(肉)を食べる。オキアミを捕食した魚が生きている間は、アニサキスは魚のはらわたやえらに寄生している。魚が人間に捕獲されて死んだ後は、アニサキスは魚のはらわたやえらの中でしばらく生き延び、やがて死んだ魚の身の中に進出する。その後、アニサキスも死に絶えるが、死骸が魚の身の中に残る。人間は魚の身と一緒にアニサキスの死骸を摂取してしまう。

ということは、魚のはらわたやえらにいたアニサキスが魚の身に入り込むことがないという調理環境が完璧に保障されていれば、どの魚を食べても、アニサキスの摂取はないということになる。たとえば、生け簀(いけす)料理などで、板前が生きている魚を目の前で調理し、はらわたやえらを完全に除去する。それを自分の目で確認してその魚をその場で、という食べ方などだ。

次ページ生きているうちに内臓を処理した魚や瞬間冷凍した魚もOK
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