上司が言いがち「後はやっておくよ」がNG発言な訳 部下を気遣っているつもりでも落とし穴がある

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最悪のケースは、言われている本人は自分自身の変えられないこと、例えば性格や性質について指摘されていると認識し、必要以上に悩むことも多々あります。伝えるべきは、「どういうポイントをもっとクオリティーアップするべきか」という業務における指摘です。

「ここに〇〇の情報も入れるとうまく伝わるんじゃない?」「こういうポイントは語尾にも気をつけるようにしようか」と指示を明確にすれば、「なるほど、自分はここの部分が至らなかったんだな」と明確に理解できるようになります。「次はそれを意識して頑張ろう!」という気になりますし、もっと言えば「確かに!自分が気付いていなかったポイントを教えてくれたな」と上司との信頼関係作りになるかもしれません。

「やる気を出して」ではなく目標達成のためのフィードバックとして業務に対する具体的な指摘として、「ここにこの要素を加えようか」とコミュニケーションを取れるようにしましょう。

自分のことをわかっていないと思われる言葉

③「なんでこれをやってないの?」

例えば、「この企画書を作っておいてね」と指示を出したときに、類似商品の研究がされていなかった。それに対して「なんで類似商品の研究をしていないんだ!」と怒る、といったケースです。

『部下のやる気はいらない 「一歩踏み出す」からはじめるコーチング』(日本能率協会マネジメントセンター)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「なんでこれやってないの?」と部下が言われた場合、上司が「やっておいてほしいと思ったこと/会社的にやっておくべきこと」を伝えられていなかったということでもあります。つまり、上司にも責任があるのです。

また、言われた部下は「ああ、この人は自分のことをわかっていないんだな」と感じてしまう可能性もあります。部下は、仕事の優先順位をつけて、「それをやらない」という選択をしていた可能性があります。「自分的には、力を入れるべきポイントはここだと思っていた。だからやらなかったのに、上司はそれを全然理解してくれていない」と感じてしまうかもしれないのです。

もっといえば、仕事には「ナワバリ」という概念もあります。「ここからここまではこっちの組織の仕事」という考え方があったりして、それを無視すると、ほかの組織や営業から「ここから先は営業第2部の仕事だぞ」「お前、俺たちの仕事を奪いやがったな」と言われる事態になるのです。

そのナワバリを理解せずに「これやったほうがいいんじゃないの?」と言ってしまうと、「それはあっちのナワバリなんだよ。この人、自分のことを何もわかっていない」と部下から思われてしまうかもしれないのです。

いかがでしょうか。「親の心、子知らず」とは言いますが、これは上司と部下でも同じことがいえると思います。言葉を変えるだけで、相手への伝わり方も変わっていくものです。ぜひ頑張ってみてください。

岩崎 徹也 PABLO代表取締役

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いわさき てつや / Tetsuya Iwasaki

慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科修了。2013年新卒でリクルートホールディングス入社、リクルート住まいカンパニーにて大手法人営業/新規事業立ち上げなどを歴任。その後起業して法人向けコーチング会社を設立。独自のコーチング理論を構築し。主にミドルマネジメント向けにコーチングセッションを実施している。

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