中国の台湾政策に行き詰まりが見えて仕方ない訳 ペロシ訪台後の行動に米国ひるまず、国内も失望

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また今回の演習に当たって、中国は演習の相手方世論・心理に与える影響や法律上の自国の主張を強化することを重視していた。中国は、世論戦、心理戦、法律戦の三戦を公式の軍の政治工作として掲げてきた。今回の演習では、そうした手法が明らかに用いられている。

中国が世論戦・心理戦をよく準備していたことは明らかである。各部隊の演習の映像は準備されており、これが一斉に流された。またセブンイレブンのモニターが乗っ取られ「戦争商人のペロシは台湾から出ていけ」と表示された。

また演習そのものが世論戦・心理戦と組み合わされていた。例えば短距離弾道ミサイルのコースは、台北上空を飛び、台湾本島を飛び越えている。これも台湾世論に対して圧力をかける試みと言える。さらに台湾が包囲されるような演習地図を作ったのも、オペレーション上の必要性だけでなく、相手に与える心理的インパクトを計算していたと思われる。さらに演習は法律戦でもあった。演習海域を台湾の領海にかぶせることで、台湾は中国の一部であり、領海は存在しないと主張した。

アメリカのコミットメントは止まらず

しかし、それでも中国にとって明らかだったのは、台湾問題の難しさである。中国の決意の表明や警告はアメリカの行動にほとんど影響を与えなかった。

中国は、強まるアメリカの対台湾コミットメントに対して有効な対抗策を持っていないことが明らかだった。中国側は再三警告し、首脳会談において習近平国家主席自らの要請を行ったにもかかわらず、ペロシ議長の訪台は止められなかったし、その後の米欧の議員の台湾訪問を止められていない。

危機における中国の行動は、実際のところアメリカに対してかなり慎重だった。中国の軍事演習は、ペロシ議長が台湾を去ってから始められた。また演習は、アメリカを刺激するような内容、例えば対艦弾道ミサイルの発射実験は避けられた。アメリカ軍機や艦艇に対する挑発的な行動はとられなかった。

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