有能なリーダーと呼ばれる人は、自分で「勝手には」決めない人でした。必ず、現状をメンバーに説明し、何が足らなくて、何が求められているかを共有して、議論を始めました。
ダメなリーダーと思われている人は、とにかく、自分で決めて、自分で指示を出して、自分で責任を取ろうとしていました。組織のメンバーは、いったい何が問題で、何が求められているか、根本のところが分からないまま、その指示に従いました。当然ですが、納得してない顔をする人が多くいました。
リーダーが「何を考えているか分からない」ではなくて、「何を考えているかよく分かる」という状態にすることが大切だと気付いたのです。
「明日、このシーンを稽古したいっていう希望ある?」という僕の言葉は、演出家がフレンドリーだとか正直だとかという意味ではなく(もちろん、それも大切ですが)、「演出家が、明日の稽古のメニューを決められていない」という情報を組織に流通させたのです。
問題は、やる気のある人と無関心な人の対立ではない
もちろん、リーダーは責任を取る人です。みんなの意見を聞いても、最終責任はリーダー自身にあります。みんなが言っている通りに決めても、その責任はリーダーが取ります。それが、リーダーなのです。
自分で責任を取ることと、組織に情報を流通させて、メンバーに思考する雰囲気を作ること・メンバーの知恵を借りることは別です。
組織というのは、うかうかすると、すぐに淀(よど)みます。情報が淀めば、組織が淀みます。組織が腐ってくる一番の原因は、情報が流通しないことです。
一部の人達だけが情報を握って、焦って、心配して、苛立つのです。情報を知らされてない人は、どうしてそんなに焦っているのか分からないので、ノンキだったり無関心だったり勝手なことをします。それを見て、情報を持っている人は、ますます焦り、苛立ち、怒ります。
問題は、やる気のある人と無関心な人の対立ではなく、情報が流通してないことです。
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