なぜ秘書官に長男起用?「岸田首相」2年目の危機 大型経済対策などで反転攻勢を狙うが不透明
岸田首相の所信表明演説は、3日午後2時から衆院、同3時から参院の本会議場でそれぞれ行われた。衆院では岸田首相が演説の中で旧統一教会問題に言及すると、野党席から「うしろの人(細田博之衆院議長)は説明しなくていいのか」などの大声でのやじが飛び、議場内が騒然となったため、岸田首相が思わず口ごもる一幕もあった。
岸田首相の演説での言葉は「旧統一教会との関係については、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たしながら、信頼回復のために、各般の取り組みを進めてまいります」というもの。周辺によると、いったんは「現在社会的に問題が指摘されている団体」と特定を避ける表現だったが、直前に岸田首相の決断で、実名になったとされる。
次の舞台となった参院本会議でも、旧統一教会との関係についての説明が迷走する山際大志郎経済再生相を標的にした「大臣更迭でしょ」などのやじが飛び交い、自民党席でも首をかしげて肩をすくめる議員が少なくなかった。
「経済対策」に力点を置くことで反転攻勢を狙う
そうした中、岸田首相は経済対策に力点を置くことで反転攻勢を狙う。演説の冒頭で「足元の物価高への対応に全力をもって当たり、日本経済を必ず再生させます」と断言。具体的には夏以降に国民生活を直撃している「物価高・円安対応」に加え「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」への取り組み強化を打ち出した。
岸田首相はその中で、国民が期待する「物価高・円安対応」では、電気料金の急騰に対し「家計・企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない、思い切った対策を講じる」と声のオクターブを上げた。
また、演説の最後(結語)では、あえて有名な「故事成句」や「偉人の言葉」などを引用せず、福島の復興などに絡めて「聞く力」をアピール。「『信頼と共感』。この姿勢を大切にしながら、正道を、一歩一歩、前に向かって歩んで行く。この国の未来のために、これからも全身全霊で取り組んでまいります」と議場内を見回しながら締めくくった。
客観的に見れば、地味だが生真面目な岸田首相らしい演説ではあった。しかし、与党内でも「決断力が問われているのに、拍子抜けだった」との不満が多く、野党からは「お疲れなのか、熱が感じられなかった」(国民民主)と体調を気遣う声すら出た。
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