子どもの自己肯定感を下げる大人の「5つの失敗」 「指示、命令、脅迫、説得」で子どもを動かす親へ

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長所を優先し、短所や欠点は指摘しないか、丁寧に教えてあげることでこの状況は簡単に解決するのですが、欠点ばかりが見えてしまう人にとっては難しいかもしれません。しかし、まずは「自分は欠点指摘を優先しているかも」と認識することです。その後の対応が緩和され、徐々に変わっていく可能性があります。

(5)教えるよりも感情が優先してしまう

前述のように、子どもは大人に比べて知らないことがたくさんあります。知らないことは教えてあげればいいのですが、そのとき厄介なことが起こります。それは、感情を伴ってしまうということです。

感情自体は悪いものではなく人間らしさを表出するものですが、時として子どもには通用しないことがあります。それは大抵、ネガティブな感情です。

子どもは意外と冷静に大人を見ている

例えば、イライラの感情はその代表例です。イライラしながら子どもに話をすることで内容が伝わらず、親の感情だけが伝わってしまい、「自分は親がイライラする人間」だという情報を与えていることがあります。特に繊細な子どもは、感情に敏感なので、受けとる量が少なくありません。その結果、子どもの自己肯定感を下げる可能性があります。

「子どもは『感情をコントロールできない人』を大人とは認めない」ということを聞いたことがあります。子どもは意外と冷静に大人を見ているものです。ネガティブな感情を継続して子どもにぶつけていて、よい結果をもたらすとは思えません。

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子どもは人生経験、社会経験がまだ浅く、大人の言葉の意味を理解できないことも多いです。自分が思っていることを正確に表現できない状態であることもよくあります。

感情のコントロールは極めて難しいテーマですが、この点を認識できれば、感情面を少し後退させ、冷静に伝えることができるかもしれません。

以上、「わが子の自己肯定感を下げてしまう5つの理由」についてお話ししてきました。もし子どもの自己肯定感を下げているかもしれないと思う場合は、ぜひこの5つを振り返ってみてください。親が対応をちょっと変えてみるだけで、子どもの様子が180度変わることがあります。参考になれば幸いです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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