できる人ほど「予定に空白を入れておく」深い理由 グーグルも注目する「戦略的小休止」の効用
注意経済(アテンションエコノミー)のローラーコースターに乗っている私たちは、かつてないほど時間に追われて息苦しさを覚えている。時間を奪うものの総攻撃を受けており、世界じゅうどこもかしこも、労働者は疲れきって青息吐息になっている。
そこで私が見つけた解決策が、「ホワイトスペース」と呼ばれるもの。1日の中に考える(そしてひと息つき、内省し、計画し、創造する)ための自由な時間を設ける、というアイデアだ。
名前からわかるように、この言葉は紙のカレンダーの白い未記入のスペースから思いついた。あの小さくて四角い、インク跡のないまっさらな空白が、あなたや私の1日に集中力(フロー)と心の平穏を、驚くべき創造性を加えるカギだと気づいたのである。
グラフィックデザインの世界で、ホワイトスペースはページの空白部分を意味する。セールスの世界では未開拓の市場を指す。わが社では「予定が入っていない時間」と定義している。
長いか短いか、計画的にとったか偶然空いたかはともかく、それはスケジュール外のオープンな時間であり、日々の活動を「戦略的に休む」ことで手に入る。
ホワイトスペースがこの社会に欠けていて、必要であることはいわずもがなだろう。人々が燃え尽き感に絶えず襲われているのも、本来の力を発揮できないのもホワイトスペースがないからだ。
Googleも注目する“空白時間”
自由な時間を持てると知ると、多くの人はこちらに聞こえるほど深々と安堵のため息をつく。そうやってみんなが元気になっていくのを見るのはとてもうれしい。
私はこれまで、個人的な対話や、ワークショップや、世界最大のリーダーシップイベントなどを通じて、何十万もの人々にホワイトスペースの魅力を伝えてきた。そしてアメリカ国内はもとより、ドイツやオーストラリア、遠くはルワンダからも感謝のメッセージを受け取ってきた。はるかアフリカの地でも、人々は1分間の心のゆとりを、考えにふける時間を必要としている。
いまから10年前、いくつかの企業からこの思想を広く導入するアイデアを請われたのを機に、私は仲間とホワイトスペースのコンサルティング会社を立ち上げた。以来、グーグル、P&G、ヴァンズ、セフォラ、ナイキ、スポティファイといった錚々たるブランドと仕事をしてきた。
どんな企業や組織も、働き手の火を燃やす燃料を模索しているのだ。
そしてそれは、取り戻すことができる。
ホワイトスペースを手に入れることは誰にでもできる。
まずはその時間を見つけよう。自分に許そう。毎日、ほんのわずかな時間を割くだけで、あなたは変われる。完全に止まるもよし、1秒か5秒、ちょっと立ち止まるもよし。まずはできる範囲で楽しんでやってみよう。
そしてこの先、仕事の激流に否応なくさらわれても(いずれそうなる)、ふとわれに返ると何週間もノンストップで働き続けていることに気づいても、そんな自分を認めて、許して、また一から始めよう。何度でもトライしよう。
そして、次のことを自分に問いかけよう。
1日何度立ち止まっているか?(数えてみよう)
それは時間にするとどのくらいか?(タイマーをどうぞ)
戦略的小休止をとろう。毎日。今日も。明日も。
(訳:三輪美矢子)
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