「地球と月」が実は似ているロマンティックな理由 太陽系の惑星同士は「衝突」を繰り返してきた

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しかしこれらの質量は太陽系でいえば、太陽を除くと圧倒的であり、いわば狭い電車内で、巨漢のお相撲さん2人が移動しているようなもので、まわりの一般惑星は、それにしたがってともに移動することになります。

その過程で、外にいた天王星、内側にいた海王星は、互いの位置を交換するほどの大きな移動を強いられたようです。座席の移動じゃなくて、位置の交換というのは、大変なイベントですよね。

そしてこういった重爆撃期の激しさもあって、当時形成されていた原始火星もありましたが、衝突によって多くが破壊されて、残骸として今の位置にできたのではとも考えられます。それに関係して火星と木星のあいだの軌道領域には、今も大量の天体の残骸があります。

地球は月と「双子」だった?

ひょっとしたら、そんな惑星同士の戦争期の「つわものどもが夢のあと」なのかもしれませんね。これは地球にとっても他人事ではありません。当時、原始地球は今の2倍程度の大きさがあり、そういった激しい爆発で飛び出した天体がぶつかり、今の地球と月という2つの天体に分かれたという可能性もゼロではありません。

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実際、地球の内部構造と、月はよく似ており、同一起源であることも否定されていません。お空にうかぶ月を人間はうっとりと眺めてしまう、そんな情景ももしかしたら、もともとの起源が同じ原始惑星の記憶をたどっているのかも。惑星戦争のときにうまれた、奇跡の双子、それが地球と月なのかもしれません。

そんな思いでかぐや姫を、宇宙規模の感性をもつ宇宙人として読み返してみると、きっともっともっと意味深で感慨深いお話であることに気がつくはずです。

高水 裕一 筑波大学計算科学研究センター研究員

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たかみずゆういち / Yuichi Takamizu

1980年東京生まれ。早稲田大学理工学部物理学科卒業。東京大学大学院、京都大学大学院を経て、英国ケンブリッジ大学理論宇宙センターに所属し、スティーブン・ホーキング博士に師事。現在、筑波大学計算科学研究センター研究員を務める。専門は宇宙論。主な著書に『時間は逆戻りするのか』『宇宙人と出会う前に読む本』『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』(以上、講談社)、『宇宙の秘密を解き明かす24のスゴい数式』(幻冬舎)などがある。

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