日本が企業の国際競争力低いのに「高評価」の意外 製造業主体でIT化遅れ「昭和の遺産」で食べてる?

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日本の半導体産業は1980年代には「DRAM」の分野においては世界の8割を超えるシェアを握っていた。その後、パソコンが登場したことで世界の半導体業界は、韓国や台湾のメーカーがパソコンに特化した安価な半導体の大量生産に取り組んだ。一方で、日本メーカーは従来の大型コンピューター向けの製品に固執し、半導体産業の力を大きく落としてしまった。

日本の民間企業は、将来の産業の主役となるIT化に対しても、大きな遅れをとってしまった。総務省の「令和元年版 情報通信白書 ICT投資の状況」によると、1995年を100とした場合、日本は1996年をピークにして以降、ずっと横ばいを続けている。その間にアメリカやフランスは250前後にまで投資額を増やし続けてきたことがわかる。

その結果が日本企業の内部留保の蓄積という形となって現れていると言っても過言ではない。日本という小さな国のマーケットに固執してしまい、海外に出ることを怠ってしまった傾向が高い。

もっとも、1990年代以降急激な円高が襲ったときには、日本企業は海外に工場を移すなど、さまざまな対応を行った。しかし、単に日本の工場を労働賃金の安い海外に移しただけの海外戦略だったケースが目立つ。言い換えれば、日本本社を守るためだけの製造拠点のシフトが多かった。流通やサービス業なども数多くの企業が海外戦略にチャレンジしたわけだが、その多くは日本のスタイルをそのまま移しただけというのが多かった。

牛丼チェーン、コンビニなども数多くの企業が海外に進出して、「現地化」という名のもとに成功しているケースは多いのだが、その大半は日本人スタッフが最終的には1人か2人で、それも数年で交代して日本に帰国してしまう。過去の遺産で利益を上げてきた日本企業が多い、と言っていいだろう。

ビジネス競争力は低いが、国際的な評価はいまだに高い日本?

ところで、視点を変えて日本の総合力という観点から見ると、そこにはまた違った景色が見えてくる。民間企業や政府のこれから進むべき方向性を考えた場合、ビジネスの効率という点だけで将来の設計を決める時代では無いのかもしれない。ちょっと視点の違う国際ランキングをいくつか紹介してみよう。

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