福岡のうどん、「ごぼう天入り」がやけに多いワケ 「ウエスト」「牧のうどん」「資さんうどん」……

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ただ、博多うどんを出す店がここ数年で都内に少しずつ増えたこともあり、ごぼう天の存在が知られつつあります。多くはありませんが、都内では讃岐うどんのお店がごぼう天を扱うケースも見られるようになっています」(井上さん)

博多うどんの麺がやわらかい理由

このあたりで、ごぼう天との関係が深い「博多うどん」の成り立ちについても押さえておきたい。

福岡の歴史に詳しい福岡市博物館の学芸課長・松村利規さんは、博多うどんは関西、おそらくは大阪のうどん文化の影響を受けているのではないかと語る。

「大阪のうどんはやわらかい太めの麺に特色があり、江戸時代に発達した昆布と鰹節などによる混合だしの文化を背景としています。これが庶民に広く親しまれていたことは、上方落語『時うどん』からも伺い知れるところです。

博多うどんの麺のやわらかさは、つゆと麺がうまく調和するようバランスをとるために、もっちり感を残しつつも噛みごたえを抑え、軽さを求めた結果ではないでしょうか。胃に負担がかからず、すぐ食べられるため、商家では奉公人の夜食などにも重宝されていたようです。

明治生まれの博多の人たちの思い出話によく出てきたのが、福岡橋口町(現・天神一丁目)『乙ちゃんうどん』でした。関西で修業をした赤間音吉さんという方が明治の後半に開いた店で、美味しいうどんが手軽に食べられたそうです。

はじめは『時うどん』さながらに、担ぎ屋台で博多の街をまわっていたそうですから、これは大阪で夜間に屋台でうどんを売る『夜鳴きうどん』のスタイルを受け継いだものかもしれません」(松村さん)

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