福岡のうどん、「ごぼう天入り」がやけに多いワケ 「ウエスト」「牧のうどん」「資さんうどん」……

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松村さんにも、ごぼう天×うどんのおすすめの食べ方やよく行く店を尋ねてみた。松村さんはシンプルに「ごぼう天うどん」を注文することが多いという。

(写真:mm/PIXTA)

「このところ巷では『肉ごぼう天うどん』を食べていらっしゃる方が多いような気がしますが、私個人はとくに初めて入った店、久々に訪れた店では必ずごぼう天うどんを注文します。すめ(福岡ではかけつゆのことを「すめ」と呼ぶ)の味や香りを確かめ、ごぼう天の姿かたちを見ることで、店のバックグラウンドやスタンスを想像できる楽しみがあります」(松村さん)

素材の風味、だしの香りも博多うどん独特の味わい

ときどき新幹線の出発待ちの合間に駆け込むのは、JR博多駅地下1階にある「大福うどん」や「因幡うどん」だとか。「15分もあれば余裕を持って食事できてホームまで行けます」とほほ笑む。たまに無性に食べたくなるのは、福岡市内のうどん店でもとくに太くてやわらかい麺が特徴的な呉服町「みやけうどん」だという。

なお井上さんも、松村さんの話にも挙がった「肉ごぼ天うどん」を推していた。

「ごぼうは筑前煮やすき焼きに見られるように、甘じょっぱい味付けの中でも引き立つうえに、動物性の脂との相性が抜群です。やさしいだしの中で互いの風味を立て合う肉とごぼう……2つとも強めな素材ゆえ、やわらかめな麺が合うと思います」(井上さん)

(写真:yoshi/PIXTA)

博多うどんは麺のやわらかさに特徴があるというのは先述のとおりだが、松村さんは「博多うどんのだしは、昆布と鰹節のあっさりだしの関西とも異なり、いりこをふんだんに使っています。うどん店に入ったときの香りも含めて、博多うどん独特の味わいかと思います」と語る。

奥深いごぼう天うどんの世界。福岡に行く機会があれば、また都内などで見かけた際には、堪能してみてはどうだろうか。

池田 園子 ライター、編集者

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いけだ そのこ / Sonoko Ikeda

編集プロダクション「プレスラボ」代表。1986年、岡山県生まれ。中央大学卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者・ライターに。その後「DRESS」編集長を務め、現職。持続可能なビジネスを行う企業や個人の取材を続けている。

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