自己評価の低い人が持つ「社会を変える可能性」 「Believe It」は挑戦者の背中を押す「お守り本」

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リマ氏が業界でやろうとしたこと

こうやって、たとえ一つの前提が覆されても、それによって、逆に譲れない、決して変わらない条件が今までよりさらに色濃く浮かび上がるということがある。

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ファッション・美容業界における、長年受け継がれ、固められてきたスタンダードを覆すのは、決して容易なことではないのだろう。

本書の主人公、ジェイミー・カーン・リマ(以降リマ氏)は、美容業界の常識に変化をもたらした人物だ。

イットコスメティックスの創業者である彼女は、自身も酒さという肌トラブルを抱えている。そこで、あえて肌トラブルを抱えたモデルを、すっぴんのまま登場させ、その場で自社のコスメを使って美しい肌に変化させるというスタイルで、販売数を伸ばし、会社を大きく成長させた。

リマ氏が初めて、この手法でテレビのショッピングチャンネルに出演する前、周囲の人々は激しく反対したという。

専門家は言うのだ。

『うまくやる唯一の方法は、選り抜きのモデルたちを使って商品をアピールすること。20代前半の、非の打ち所がない美肌のモデルを使うことだ』

と。

「安全策」ではなしえないこと

しかし、やっとつかみとった一世一代のチャンスであるテレビ出演で、リマ氏は周囲が言う正攻法、いままでの常識に従えという声よりも、自分の信じる方法を選択する。

『本気で言うのだけれど、女性や少女が繰り返し目にする唯一のモデルの写真が、自分たちとかけ離れていたら、どうやって自分のことを美しいと思えるのだろう?』

彼女はこの業界で長く、「絶対」と信じられてきた常識に逆らって、すべての人が自分の美しさを感じてほしいという信念で、肌トラブルや年齢もさまざまなモデルをすっぴんで登場させるという方法を打ち出し、さらには、商品の即完売という結果を出して、その正しさを証明したのだった。

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