ロシア「ウクライナ国境の町」で今起こっている事 「ウクライナに攻め込まれる」の妄想に住民は…
戦争を支持する人々でさえ、全面戦争であることが明白なのに「特別軍事作戦」と言い張るロシア政府に不満を示していた。徴兵は行われるのか、行われるとしたらいつ始まるのか、といったことに思いを巡らせる人々も多い。
ウクライナから到着する難民によっても、戦争の現実は浮き彫りになっている。
ここ数カ月、ウクライナ東部から何千人という人が流れ込むようになっているが、ロシア軍が占拠していた北東部の領土をウクライナ軍が奪還した週には、その数がとくに多くなった。ウクライナ政府の支配下で暮らすことに不安を抱く人々がいる一方で、協力者として処罰されることを恐れている人々もいると、脱出を支援する活動家らは話した。とくにロシアのパスポートを取得したり、占領統治機構の職に就いていたりしていた人々が処罰におびえている。
ウクライナの復讐におびえて脱出
「彼らは病院、学校、店舗といったところで働き、暮らしを維持しようとしていただけ。それなのに、あちら側はそれを占領者への協力だと考える」と、ベルゴロドで難民支援にあたってきたユリア・ネムチノワは言った。親ロシアの視点を持つネムチノワは2014年、夫がウクライナ当局との法的トラブルに巻き込まれたことから、国境のすぐ反対側にあるウクライナの生まれ故郷ハルキウを去った。
しかしネムチノワは、自分たちが解放者だと考えていたロシア軍に裏切られたと感じている人は多いとも述べた。ウクライナ軍の圧倒的な攻勢を受けてロシア軍が逃亡したことにショックを受けているのだ。
「ロシアはここにずっといる。そう約束されていたのに」と、ネムチノワ。
ベルゴロドでの取材に対し、最近ウクライナが奪還した領土から逃げてきた人々は、ウクライナ軍が現地の政府関連施設に踏み込んで、ロシアの暫定統治機構から仕事をもらったり人道支援を受けたりした人々のリストが見つかる事態になることをおそれていると話した。