台湾有事を見据え水面下で進む日米台の軍事協力 パラオ演習に台湾巡視船と海自護衛艦が参加

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台湾海峡は2022年8月、アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に反発した中国の軍事演習で大揺れした。アメリカ海軍は2022年8月28日、台湾海峡にイージス巡洋艦2隻を通過させた。アメリカ艦艇の通過には台湾海軍と巡視船が伴走し、これを中国海軍の監視船が追尾するという物々しさだったという。

これに続き2022年9月2日、台湾海峡で海保巡視船の「奇妙な行動」がネットを騒がせた。「なぐら」など4隻の巡視船が、「台湾海峡に集結した」と香港メディアが騒いだのだ。実際は「台風11号」が沖縄・南西諸島に接近・停滞したため、尖閣諸島周辺でパトロールしていたこれら4隻が、避難のため台湾海峡に集結したのだった。

巡視船が台湾海峡に集結

ところが、巡視船の航行を詳細に伝える日本のツイッターが「2022/09/03 台湾海峡を通過している海上保安庁巡視船御一行様。この一斉行動は単なる台風避難ではないね」(@yanzu27)などと「ナゾかけ」風の書き込みをした。これが、台風避難を名目に日本巡視船が台湾海峡で「自由航行作戦」を行ったとの臆測を呼んだのだった。

同じツイッターの書き込みは2022年9月4日「海上保安庁の各巡視船の出航地と航路が興味深い。これが単なる台風避難なのか?? ①「れいめい」鹿児島→台湾海峡中央部でUターン ②「りゅうきゅう」那覇→台湾海峡を南下、バシー海峡手前でUターン北上。 ③「とかしき」石垣島→バシー海峡から台湾海峡を北上」と、復路まで詳細に書き込んだ。

海上自衛隊と海保は今後、台湾有事を視野に協力・連携を深め、アメリカ軍の「橋渡し」の下で台湾海巡防署との協力・連携の空間を広げる可能性もある。パラオ合同演習への台湾艦参加は、その先駆けでもあった。

岡田 充 ジャーナリスト

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おかだ たかし / Takashi Okada

1972年共同通信社に入社。香港、モスクワ、台北各支局長、編集委員、論説委員を経て、2008年から22年まで共同通信客員論説委員。著書に「中国と台湾対立と共存の両岸関係」「米中新冷戦の落とし穴」など。「岡田充の海峡両岸論」を連載中。

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