パワーカップルの7割が使う「ペアローン」のワナ 収入合算との違いは?メリットデメリット

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■【フラット35】の場合の資金計画例
(※)元利均等、ボーナス返済なし、金利は頭金9割以下の住信SBIネット銀行の9月金利

【フラット35】は、1物件に1本のローンが原則なので、ペアローンは組めない。ただし、「連帯債務型」の収入合算ができる。妻は連帯保証人になるのではなく、連帯債務者となり、夫と同様にローンの返済義務を負う。

【フラット35】の収入合算では、妻の収入の全額を上乗せすることができるうえ、所有権の持ち分が持てる。持ち分に応じて住宅ローン控除の適用も受けられる。

また、金利の上乗せがあるが「デュエット」という夫婦連生団信を利用できるので、妻が死亡した場合でも、ローンが団体信用生命保険の保険金で返済される。

【2022年9月12日10時40分追記】初出時、「デュエット」の内容に誤りがあったため、修正しました。

このように、【フラット35】ではペアローンは組めないものの、ペアローンの多くのメリットを享受できるので、夫婦2人で買って、2人で所有し、2人で返済する選択肢のひとつになるだろう。

ペアローンで買った後は、夫婦仲良くが理想

ペアローンに限ったわけではないが、夫婦で力を合わせてマイホームを購入した場合、大きな問題になるのが「離婚」時だ。婚姻中の財産は2人で分けることになるが、住宅は2つに分けることができないので、どちらかが相手の分を買い取って住み続けるか、売却して現金にするかになる。

資金的に頑張ってペアローンで購入した場合、相手の分を買い取る余裕がない可能性が高い。また、売却する場合に住宅ローンの残高より高く売れればよいが、婚姻期間が短いなどで住宅ローンがかなり残っている場合は、売却額よりもローン残高のほうが多いということもありうる。

つまりは、夫婦で力を合わせてマイホームを購入した場合は、長期間一緒に返済し続ける関係性を築けるように、夫婦が仲良くすることがカギになる。マイホームは長期的な視点に立って買うべきものなのだ。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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