――援助をしても、そのお金が統一教会に流れてしまうから?
そういうことだ。
ただ1998年には仕送りを再開した。建設会社の社長をしていたA子の父親(徹也の祖父)が亡くなったんだ。それまでは父親の役員報酬がA子たちの生活を支えていたが、それが途絶えてしまった。家計が困窮することは目に見えていて、家内と話し合った結果、仕送りを再開することにしたんだ。
――それでもA子さんは統一教会への献金を続けていた。
そう。私はA子に「統一教会にいくら献金したんだ」と何度も訊いた。しかしA子は、事件後の検事調べの自白に至るまでこの質問には一切答えていない。
事件後、検察が気づいて私に教えてくれたんだが、家内は振込先をA子から、徹也や徹也の兄の口座に変更していた。A子にお金を振り込んでも統一教会にそのまま献金されてしまうと考えたんだろう。
【2022年9月9日12時00分追記】初出時の表記を一部修正しました。
祖父の死後、さらに信仰にのめり込む
――資金援助は受け続ける一方で、統一教会への献金は続ける。献金額も明らかにしない。道理に反しませんか。
常識で考えたって無駄だよ。そういう人間じゃなくなっているんだから。
A子は夫の生命保険を献金してしまっただけでなく、1998年には父親名義の土地を父親に断りもなく売却して献金してしまっている。 徹也はTwitterに「(祖父が)包丁を持ちだした」と書いていたようだが、あれは父親が娘A子に「(統一教会を)脱会しろ!」と怒り狂っていた時のことなんだ。A子の父親は、その2カ月後に他界してしまった。
身内の不幸を背に、A子はさらに信仰にのめり込んでしまって、1999年には自分や子どもたち3人が暮らしていた家まで売却してしまった。これはひどかった……。家族は家を失い、その後は借家を転々とする生活を送ることになったんだよ。
A子は2002年に破産してしまった。そのことを私が知ったのは、ずいぶん後になってからのことだが。