イマジカ、「コンテンツ輸出拡大作戦」始動 世界最大の字幕・吹き替え会社獲得の意味

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イマジカとしては海外本格展開の第2弾となる今回の買収。これまでも海外映画の配給会社が翻訳済みの字幕をコンテンツに入れ込み、フィルムを焼き増す事業は受託していた。が、今回SDIを傘下に収めたことで、新たに1段階上流の業務も手中に収めた。かつ、テレビキー局や映画会社などの既存顧客に対しては、アニメなどの各社の有力コンテンツの企画からポスプロ、翻訳や字幕・吹き替えなどの処理まで、ワンストップサービスで提供できる強みを手に入れる。既存事業でダブりのなかったSDIの収益はそのままイマジカの連結収益に乗ることで、業績停滞から大きく抜け出すチャンスを得た。

字幕は世界にコンテンツを送り出す強力な武器

日本のアニメ輸出が一時の勢いをなくし停滞する今、往時は海外からの発注を待っていた“受け”のビジネスから、こちらから世界へ売り込む“攻め”のビジネスへ各社は転換を図るべく必死だ。その際、日本サイドで字幕まで作り込んで売り込むことが可能になれば、強力な武器になる。

SDI自体はあくまでコンテンツのローカライゼーションが本来業務で、世界中に営業部隊を置くわけではない。だが、顧客層は20世紀フォックス、ソニーピクチャーズ、ワーナーブラザーズなどのハリウッド映画制作メジャーのほか、勢いに乗るネットフリックスやHuluなどパソコンやスマホへの動画ネット配信大手とも強力なネットワークを持つ。そしてテレビドラマや短編の映像コンテンツで特に豊富な実績がある。

世界、特に新興国では多チャンネル化が進み、コンテンツの流通もDVDからネット配信へ大きく舵を切っている。安倍政権の看板でもあるクールジャパン戦略の追い風の下、吹き替え・字幕制作という“裏方”仕事の企業買収は、買収したイマジカ本体のみならず、日本のコンテンツ輸出に裏方以上の威力を与える可能性を秘めている。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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