イマジカ、「コンテンツ輸出拡大作戦」始動 世界最大の字幕・吹き替え会社獲得の意味
映像コンテンツの編集加工(ポストプロダクション)、企画制作のほか、衛星放送での自社チャンネルを運営するイマジカ・ロボットホールディングスが、満を持して、世界最大のメディア・ローカライゼーションサービス会社、SDI Media Central Holdings(米カリフォルニア州)を買収する。
官民ファンドのクールジャパン機構(海外需要開拓支援支援機構)が49.6%、住友商事0.3%、イマジカが50.1%を出資して特別目的会社(SPC)を設立。そのSPCが190億円を投じてSDIの株式の100%をBNPパリバ系法人から取得する。今年4月1日をもって連結子会社とする予定だ。
SDIは対応言語80カ国で断トツ
SDIはメディア・ローカライゼーションのリーディングカンパニー。米国を中心に欧州、アジアなど世界37カ国で、映像コンテンツの吹き替えや字幕付け事業を展開、対応可能言語は80カ国語以上にわたり、その対応能力の高さで2位に大差を付ける。本拠地ロサンゼルスとマニラ、ワルシャワの3都市に世界ハブ拠点を持つ。同社の事業は、連結売上高で2012年12月期に14億円㌦(167億円)、13年12月期は16.6億㌦(198億円)と近年右肩上がりで伸びている。
対するイマジカは国内事業が主体。得意とするバラエティ番組をはじめとするテレビ番組・テレビCMのポスプロ・制作や、映画作品への出資を行っている。2015年3月期では映画「紙の月」「寄生獣」などを手掛けた。衛星放送では映画チャンネル「イマジカBS」(視聴可能世帯約472万世帯)、演歌・歌謡曲専門の「歌謡ポップスチャンネル」(同576万世帯)、食専門の「フーディーズTV」(同198万世帯)の3局を運営、加入世帯数を着実に伸ばしてきていた。
こうしたコンテンツ関連は売り上げや利益に波がある。そこで、もう一つの収益部門である高速度ビデオカメラや放送用映像機器の開発・製造・販売を行う映像システム事業が安定して稼いできた。ただ今15年3月期も含め、ここ4年は利益で足踏み状態が続いている。
こうした膠着状態を脱するため、一つの方針として、最大部門である映像コンテンツのポスプロ事業で海外展開を進めてきた。14年2月には、マレーシアに同国国営投資会社との合弁会社を設立、初の海外ポスプロ拠点を確保している。同国が国を挙げて大開発を進めているジョホール州イスカンダル開発地区のアジア最大級の映像制作スタジオに、ポスプロとして参画。日本で培った技術と独自開発システム、ノウハウを生かし、東南アジアにおける一大映像コンテンツ制作・流通のハブを目指して始動したばかりだ。
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