インドネシア「中国製高速列車」上陸と今後の行方 東南アジア各国、高速鉄道計画再開の動きも

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マレーシア・タイ・ベトナムの在来線は、一部を除いてメーターゲージと呼ばれる軌間1000mmの鉄道であるため、マレーシア―中国間の鉄道貨物輸送は、マレーシア・タイから続く1000mm軌間の鉄道から、ラオスで中国につながる標準軌(1435mm軌間)の中国ラオス鉄道の貨車にコンテナを載せ替える必要がある。

しかし、高速鉄道の建設によって標準軌化を図れば、コンテナの載せ替えなく中国へ直通できるようになり、輸送力も大幅に増強される。中国規格の高速鉄道は貨物列車にも対応している。タイ、ベトナムも思惑は同じである。

中国規格高速鉄道の強み

2021年12月に開業した準高速鉄道の中国ラオス鉄道は旅客、貨物ともに輸送量を順調に伸ばしている。そしてインドネシアの高速鉄道が中国案を採用したことで、東南アジアの北と南の端が中国規格で固められた。

「鉄道最前線」の記事はツイッターでも配信中!最新情報から最近の話題に関連した記事まで紹介します。フォローはこちらから

同一規格によるネットワークなしに鉄道の優位性は発揮されない。中国から延びる鉄道がラオス、タイ、マレーシア、シンガポールと南下し、さらにその先、マラッカ海峡を渡ってインドネシアのスマトラ島、そしてジャワ島へ延伸される可能性まで見越しているとすれば、インドネシアが中国方式を採用したのは、結果論ではあるが合理的判断だったといえる。

これまでの流れを見れば、タイ、ベトナム、マレーシアの高速鉄道プロジェクトに再び日本が名乗りを上げる可能性は少なからずある。実際、タイのチェンマイ―バンコク間は2014年5月に新幹線方式による実現可能性調査実施の覚書を結んでいる。ただ、各国にとって貨物輸送の中国直通という大前提がある以上、単に高品質、安全性、信頼性などというお題目を並べるだけでは勝ち目はないだろう。

この記事の画像を見る(7枚)
高木 聡 アジアン鉄道ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかぎ さとし / Satoshi Takagi

立教大学観光学部卒。JR線全線完乗後、活動の起点を東南アジアに移す。インドネシア在住。鉄道誌『鉄道ファン』での記事執筆、「ジャカルタの205系」「ジャカルタの東京地下鉄関連の車両」など。JABODETABEK COMMUTERS NEWS管理人。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事