インドネシア「中国製高速列車」上陸と今後の行方 東南アジア各国、高速鉄道計画再開の動きも

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KCICは今回到着した車両に対して、インドネシア固有の爬虫類であるコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)をモチーフにしていると紹介し、「レッドコモド」と車両愛称を設定しているが、実際は赤色の配色パターンのみ若干異なるものの、中国を走行している車両と同じだ。

CR400AF
ジャカルタ―バンドン高速鉄道に導入される車両と同タイプの中国「復興号」CR400AF型。「レッドコモド」と比較して赤と黒の配色パターンが異なるのがわかる(写真:Yoichi Aoki/PIXTA)

また、車内の普通車座席には中国風の雲模様がデザインされているが、これに対してもKCICは西ジャワ州チルボンのバティック紋様である「メガ・ムンドゥン」と主張している。しかし、たまたま雲をモチーフとしたデザインが似ているだけで、バティック紋様ではない。

そもそも、ジャカルタ―バンドン高速鉄道はコモドドラゴンの生息地も、「メガ・ムンドゥン」の生産地も経由しない。これらのエピソードは、中国の車両そのままではないですよ、ということを国民に印象付けるために後付けされたストーリーである。

「中国色」薄めで上陸

さらに言えば、実は工場からの発送、また中国側での船積み時には車体を覆う養生の上に、中国中車のロゴと、簡体字でジャカルタ―バンドン高速鉄道に中国中車(CRRC)青島四方機車車車両が車両を納めるとの文言を記した横断幕があった。しかし、ジャカルタでの陸揚げ時にはそれが見えないよう、英語の横断幕を新たに設置していた。

インドネシア高速鉄道
船からクレーンで積み下ろされる高速鉄道車両。中国語の横断幕から英語の横断幕に変えられ、中国色が消されていた(筆者撮影)

KCICのロゴも国民感情に配慮し、高速鉄道の総称として近年用いられているKCJB(Kereta Cepat Jakarta Bandung)になっており、中国色が限りなくゼロになっていた。中国側もこれには拍子抜けしたことだろう。

とはいえ、中国側にとって、自国と同じ車両を輸出できることは非常に都合がいい。まず、新規の開発費用がほとんどかからない。また、自国内で走行試験を繰り返すことができるため、初期故障などは国内で対応が可能だ。よって、輸出後の試験期間が短くなり、すぐに営業を始められる。

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