インドネシア「中国製高速列車」上陸と今後の行方 東南アジア各国、高速鉄道計画再開の動きも
さらには、現地側の工事の遅れで完成車両が輸出できない場合は、自国内の営業用車両として転用しておくことも事実上可能である。現状、テガルアールの車両基地は車両留置スペースがレール敷設用の保線基地になってしまっており、12編成全てを収容できるほど工事が進捗していない。実際問題として、残る編成を全て発送することはできないと思われる。
CRRCはインドネシア向け12編成の製造を全て完了したと発表しているが、工場内に並ぶ様子の発表写真は見るからに合成画像であり(KCICのロゴが反転してしまっている)、まずは中国国内向けのデザインで製造し、後から「レッドコモド」仕様に塗り替える可能性がなきにしもあらずである。
近隣諸国で高速鉄道計画復活の兆し
一方、ジャカルタ―バンドン高速鉄道は中国国鉄が初めて熱帯地域の路線を手に入れたも同然であり、熱帯気候下における高速鉄道運行の実験場にもなりうる。
KCICによると、開業後の運行本数は1日34往復、日中に上下毎時2~3本が運行される計算である。所要時間は平均片道40分程度で、営業車両が11本というのは過剰な数である。おそらく、初めからある程度のトラブルが発生することを見越した本数であると思われ、トライ&エラーを繰り返しながら、ノウハウを蓄積していきたいという意向が見え隠れする。名実共に鉄道大国である中国だからこそできる、スケールの大きな話である。
ジャカルタ―バンドン高速鉄道開業へのカウントダウンがいよいよ始まったことで、マレー半島、インドシナ半島各国において、一度は沈静化していた高速鉄道建設着工への機運がにわかに高まっている。
8月からタイ経由でラオス、そして中国へ直通する貨物ルートの開拓を始めたマレーシアは、一度は着工が確定しつつも政権交代で凍結されていた同国とシンガポール間の高速鉄道プロジェクトについても再開の検討に入った。さらに、それに呼応するように、タイとベトナムも改めて高速鉄道建設の意志を表明している。
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