クラウンの「FR廃止」が必然だと言い切れる訳 FF+ハイブリッドは欧州車にはない武器になる
これらのFFセダンは、非常に売れている。特にカムリは、アメリカ市場だけでもコンスタントに年間30万台規模で売れ続けているベストセラーだ。レクサスESは、中国で大人気。トヨタ車の中でも、特に市場に強く受け入れられているのがFFプラットフォームの製品なのだ。
クラウンは、これまでほぼ日本国内専用車となっていたが、新生クラウンは世界市場に打って出て、年間20万台を狙うとアナウンスされている。そうとなれば、販売実績のあるFFプラットフォームを使うのが道理であろう。
なによりも、新生クラウンは“売れること”が求められているのだ。もしも、販売面で失敗するようなことがあれば、“クラウン廃止”の話も出てくるだろう。FRという伝統を守ることよりも、売れないほうがまずいはず。
ヨーロッパ車にはない大きな武器になる
トヨタとしてもベストセラーを数多く生み出しているFFレイアウトは、得意分野だ。FFプラットフォームを使って、セダン、SUVを作り分けることも手慣れたもの。
「ヤリス」に対する「ヤリスクロス」といったコンパクト部門から、「カムリ」と「RAV4」のように、ミッドサイズでも同じプラットフォームで作り分けを行ってきた実績がある。
さらに今回のクラウン クロスオーバーに使われる、「前輪のハイブリッド+後輪のモーター」という電気式4WDも、トヨタが得意とする方式だ。
トヨタが長年培ってきたハイブリッドを使いながら、電動化と4WD化、高性能化のすべてを満足させる技術である。海外市場で戦うことになるクラウンにとって、ヨーロッパ車にない魅力は大きな武器となるに違いない。
世界を舞台として失敗が許されない、新型クラウン。グローバルで確実に売っていくためには、従来のようなFRプラットフォームを使うよりも、実績があり派生モデルを作りやすく、そしてライバルにない新たな魅力をプラスするFFプラットフォームがベストだった。それが、新型クラウンFFレイアウトを選択の理由だろう。新生クラウンにとって、このレイアウトは必然だったのだ。
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