クラウンの「FR廃止」が必然だと言い切れる訳 FF+ハイブリッドは欧州車にはない武器になる
その結果、開発にかかる莫大な資金と時間、開発工数を縮小することができるのだ。「共用」という言葉に、ネガティブな印象を抱く人も多いだろう。「汎用品よりも専用品のほうがいいのではないか」という考えだ。
たしかに安い部品を共用していては、良い製品にはならない。しかし、共用する部品がしっかりとコストをかけ、共用を前提で開発した良いものであれば話は別だ。
たとえ2倍の費用をかけたとしても、それを4車種以上に使えば、1車種あたりのコストは低減できる。メーカーにとっては、全体としてより安く開発でき、ユーザーは同じ価格でより良い製品を手に入れることができる。これがTNGA、そして一括企画のメリットなのだ。
また、一括企画と呼ばずとも、クルマの骨格となるプラットフォームを複数のモデルに流用する手法は、すでに自動車メーカーの常識となっている。
ルノー・日産・三菱のアライアンスでは、「CMF」と呼ぶ同じプラットフォームから、ルノー「カジャー」、日産「エクストレイル」、三菱「アウトランダー」という3モデルなどが作られた。スバルは、「インプレッサ」「WRX」「レヴォーグ」「アウトバック」「フォレスター」と、「BRZ」を除くすべての車種で同じ「SGP(スバルグローバルプラットフォーム)」を採用している。
新型クラウンは、すでにTNGAによって生まれたプラットフォームやパワートレインがあり、それらを使うことで“4スタイル同時開発”という力技を実現できたのである。
トヨタにはFRプラットフォームもあるが…
とはいえ、トヨタはコンパクトカーから大型セダン、大小のミニバンやSUVを揃えるフルラインナップメーカーだ。TNGAで、クラウンに利用できるであろうプラットフォームは複数ある。
たとえばFR用のプラットフォームであれば、レクサス「LS」の「GA-Lプラットフォーム」。15代目クラウンは、このレクサスLSと同じGA-Lのプラットフォームを使ってFRレイアウトで作られている。
また、FFプラットフォームでも「クラウン」の車格に合うものがある。具体的に言えば、レクサス「ES」、トヨタ「カムリ」「アバロン」など、アッパーミドルサイズのセダンに使われる「GA-Kプラットフォーム」だ。
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